DOWAグループでは、事業のライフサイクルの各段階で必要な資源やエネルギーの投入(INPUT)と、その活動から発生するCO2や廃棄物(OUTPUT)の収支を定量的に把握して、マテリアルバランスを考えながら事業活動を進めています。
2014年度より海外事業所2社(タイ、インド)の6工場が加わったことから、前年度に比べ海外における環境負荷が増加しましたが、全体の傾向は大きく変わっていません。
項目の詳細については、地球温暖化対策への取り組みをご覧ください。
DOWAグループの資源循環には、大きく3つのサイクルがあります。
1つ目は、自社内発生・自社利用で、当社の製錬や金属加工などの「製造事業」で発生した廃棄物を「環境・リサイクル事業」でリサイクルし、販売や当社の原料として再利用を行っています。
2つ目は、他社の製造工場の工程から発生する金属くずなどを受け入れて行うリサイクルです。当社の素材や部品を納める顧客工場から受け入れる場合は、その廃棄物を原料として再び活かすなど、新たな資源投入量の削減にもつながっています。
3つ目は、使用済みの最終製品のリサイクルです。家電リサイクルや自動車リサイクル、小型家電リサイクルなどを通じ、社会から幅広く回収された使用済み製品は、金属素材として再び社会に還元されます。
DOWAグループでは、このように自社の生産段階を皮切りに社会から発生する廃棄物まで3つのループを通じて、限りある資源の有効活用に取り組んでいます。同時に資源循環における社会的責任として、適切な水処理、廃棄物の無害化、確実な最終処分など、リサイクルのあらゆる段階で環境負荷の最小化に努めるとともに、処理工程で発生する熱を蒸気や電力として活用するなど、環境保全と省エネルギーに配慮した持続可能な資源循環を目指しています。
DOWAグループでは、環境保全への取り組みを企業経営における重要な課題と位置付け、「環境基本方針」を制定し、この方針を基本的な考え方として、グループ全体で環境経営を推進しています。
1. お客様(顧客・地域など)に対し、循環型社会の構築に寄与する製品・サービスを提供します。
2. 事業活動における環境負荷、環境リスクを低減します。
3. 経営陣から従業員に至るまで、一体となって環境保全活動に取り組みます。
〈 環境基本方針Web 〉http://www.dowa-csr.jp/about/csr_policy.html
DOWAグループの環境管理活動は、CSR部門と環境保全活動を行う各事業会社の企画室が連携して行っています。DOWAホールディングスは各事業会社間の調整・取りまとめを行うとともに、DOWAグループ全体の環境管理・コンプライアンス管理を行っています。また、主な国内生産拠点および海外事業所ではISO14001を取得しており、環境管理の適切な実施のために定期的な内部監査・外部監査の実施と、監査員育成講習を通じた内部監査員の育成支援に取り組んでいます。
DOWAグループでは、環境マネジメントシステム(EMS)教育に積極的に取り組むことによって、従業員の環境意識向上と環境負荷低減のための実践力の強化を図っています。それぞれの事業所では、省エネ法や廃掃法などの環境法関連教育、温暖化に関する講習、環境社会配慮の社内勉強会など、積極的に環境教育を行っています。また取引先を対象にした環境教育やコンプライアンスのプログラムも実施しています。
DOWAグループでは、国内外の事業所において説明会や協議会などステークホルダーの方々から直接ご意見やご要望をお聞きする機会を設けています。また、ホームページを活用した環境情報の発信や地域の環境イベント、展示会への参加などを積極的に行っています。
2014年10月、廃棄物処理、リサイクル、土壌汚染などについて管理・指導を行うタイの工業省の方々が、日本における廃棄物の処理状況や設備について知見を深める目的で、秋田県大館市のエコシステム花岡、エコシステム秋田、エコリサイクルを視察されました。
2014年9月、秋田駅前アゴラ広場にて開催された「第14回あきたエコ&リサイクルフェスティバル」に秋田県内のグループ各社が合同で出展しました。身近な金属製品の展示や当社製造の金のインゴットの重さ体験などを通じ、来場された市民の方々にリサイクルや環境保全の重要性を呼びかけました。
1994年に設立されたPPLi社は、インドネシアで唯一、国際基準に適合した有害廃棄物の最終処理の許可を有する同国初の環境・リサイクル会社です。
2014年10月、創立20周年を記念して、将来の持続的発展に向けた廃棄物の適正処理や環境保全をテーマとする環境ワークショップを開催しました。このワークショップには、カンブアヤ環境大臣をはじめ、歴代の環境大臣やインドネシア政府幹部、主要顧客など約200名が出席し、活発な意見交換が行われました。PPLiは、今回のワークショップを通して、これまでの事業における高いコンプライアンスと信頼性について参加者の方々から高い評価をいただくとともに、環境問題への取り組みに関する相互理解が一層深まりました。
DOWAグループでは、省エネルギーや再生可能エネルギー、有害物質の低減、製品の高効率化や長寿命化につながる金属素材、合金、半導体や磁性体などの材料の研究開発を通じて、持続可能な社会の構築に貢献しています。
人間の目には見えない光である「紫外線」にはエネルギーが大きいという特性があり、波長域によって、殺菌(265~280nm)、医療(310nm)、分析(265~340nm)など、産業や医療などさまざまな用途に用いられています。特に殺菌用などに大きく期待される350nm以下の「深紫外LED」において、2015年3月、DOWAエレクトロニクスが世界トップクラスの高出力と長寿命を達成したことを発表しました。
従来、紫外域の光源は水銀灯が主流でしたが、LED を使用することによって長寿命、省電力、省スペースといったメリットに加え、人体に有害な水銀のフリー化を実現します。
DOWAグループでは、日本経団連および日本鉱業協会の低炭素社会実行計画(2013年1月公表)に基づき、「2020年度におけるCO2排出原単位を1990年度比で15%削減する」という目標を掲げ、取り組んでいます。
2014年度のDOWAグループ全体での温室効果ガス排出量は、約1,741千t-CO2(国内1,682千t-CO2、海外59千t-CO2)で、国内における排出量は前年度とほぼ同水準でした。海外は、2014年度より6工場が加わったことで約2倍に増加し、グループ全体の温室効果ガス排出量は約1%の増加となりました。
〈 化石燃料起源 〉 〈 電力起源 〉DOWAグループのCO2排出量は、外部から受け入れる廃棄物の焼却処理に起因するCO2の排出が大きいことが特徴です。
受入廃棄物については、取扱量のコントロールによる削減が困難であることから、廃棄物焼却熱を使った発電や蒸気利用などのサーマルリサイクルを進め、有効利用を図っています。
省エネルギーや燃料転換などの温暖化対策に加え、環境負荷の少ない新エネルギーの活用を積極的に進めています。
廃棄物発電は、ごみを焼却する際の「熱」で高温高圧の蒸気を作り、タービンを回して発電します。現在、国内4か所、海外1 か所の5事業所で発電を行っており、2014年度に利用した廃熱発電量は、前年度に比べ約7%増の79.7GWhでした。
自然エネルギーを活用する水力発電は、当社の製錬事業のエネルギーを賄う重要な電力源となっています。
1897年より発電を開始し、現在秋田県内に6か所の水力発電所を保有しています。2014年度の発電量は前年度に比べ約6%減の63.4GWhでした。
太陽光発電は、天気によって発電量が左右されますが、発電量を目に見える形で示すことができるなど、従業員の省エネ意識の向上や地球温暖化・エネルギー問題などの環境啓発にも役立っています。
現在、国内の4事業所が太陽光発電システムを導入しており、2014年度は4社合計で304MWhの発電を行いました。
※CO2排出量については、原則として、系統電力購入量、化石燃料消費量、および受入廃棄物量に対して地球温暖化対策の推進に関する法律(温対法)における排出係数を乗じて求めています。受入廃棄物由来のCO2排出量に関しては、この報告書の作成に当たり算定条件を設定しているため、行政への報告値と必ずしも一致しない場合があります。また、日本と海外の廃棄物の分類が異なることと、海外事業所の受入廃棄物に対し適切な排出係数を設定するのが困難であることにより、廃棄物起源のCO2排出量については国内事業所分のみ表示しています。
DOWAグループでは、天然資源の消費を抑制するとともに、使用済み資源の循環的利用を進めることにより、持続可能な社会形成への貢献を図っています。
2014年度の原料の使用量は979千トンで、前年度に比べ約3%減少しました。
〈 受入廃棄物 〉2014年度の受入廃棄物量は1,186千トンで、前年度に比べ約6%増加しました。これは主に海外での受入量が増えたことによるものです。
〈 製品 〉2014年度の製品量は578千トンで、前年度に比べ約2% 増加しました。
〈 排出廃棄物 〉2014年度の廃棄物処理量は519千トンで、前年度に比べ約0.3%増とほぼ同レベルでした。
2014年度のマテリアルリサイクル量は270千トンで、前年度に比べ約-28%と大幅に減少しましたが、昨年度が前年比で約29%と大きく増加していたため、平年並みの水準に戻った状況です。一方、サーマルリサイクルは433千トンと約8%減少となりました。
DOWAグループでは、水を欠かすことのできない大切な資源と位置付け、地域別の水リスクについて考慮しながら節水や水のリサイクルなどの施策を実施しています。
2014年度の水資源投入量は90百万m3で、主に製錬工程で使用する冷却水(海水)が減ったことにより前年度に比べ約13%減少しました。
2014年度の総排水量は106百万m3で、海外に新規で加わった事業所の排水により前年度に比べ約2%増加しました。
インドでは、人口増加や経済発展に伴う水需要の拡大に対し、インフラ整備が遅れている地域が多く、また水質面からも安全な水の供給と適切な排水処理が社会課題となっています。
熱処理炉を製造するHIGHTEMP社のネラマンガラ工場(バンガロール)では、工場での節水活動を徹底するとともに、水のリサイクルや雨水利用など水環境保全の取り組みを強化しています。工場の廃水は、場内に設けられたろ過装置とバイオプラントによってリサイクルを行い、処理水は工場内の緑化などに活用しています。
ネラマンガラ工場では、地域住民が生活用水として利用できるよう敷地内の井戸水の提供を行っています。
住民が自ら利用できるように必要な際に門を開放し、誰でも手軽に水を汲み上げられるよう電動ポンプを設置しています。日常生活に不可欠な水の提供により、近隣の2つの集落では遠方への水汲み作業から解放されました。