DOWAグループは、事業活動が環境に及ぼす影響を認識し、本業を通じた環境・社会への取り組みと、
自社事業における環境負荷の低減を経営における重要な課題と位置付け、グループ全体で取り組みを進めています。
DOWAグループでは、環境保全への取り組みを企業経営における重要な課題と位置付け「環境基本方針」を制定しています。方針を基本的な考え方として、環境保全の視点を踏まえた事業活動を行うとともに、グループ全体で環境経営を推進しています。
DOWA グループは、循環型社会の構築を推進するとともに、 事業活動を通じて次世代へ良い地球環境を継承することを目指します。 |
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DOWAグループの環境管理活動は、環境・安全部門と環境保全活動を行う各事業会社の企画室が連携して行っています。DOWAホールディングスは各事業会社間の調整・取りまとめを行うとともに、DOWAグループ全体の環境管理・コンプライアンス管理を行っています。また、主な国内生産拠点および海外事業所ではISO14001を取得しており、環境管理の適切な実施のために定期的な内部監査・外部監査の実施と、監査員育成講習を通じた内部監査員の育成支援に取り組んでいます。
DOWAグループでは、自社事業で使用するエネルギー量とCO2の排出量削減などの環境負荷低減を推進してきましたが、さらに再生可能エネルギーによる自家発電の活用と事業を通じた新エネルギーの普及に積極的に取り組んでいます。
DOWAグループでは、日本経団連および日本鉱業協会の低炭素社会実行計画(2013年1月公表)に基づき、「2020年度におけるCO2排出原単位を1990年度比で15%削減する」という目標を掲げ取り組んでいます。
2016年度のDOWAグループ全体での温室効果ガス排出量は、約1,595千t-CO2(海外131千t-CO2、国内1,464千t-CO2)で、海外はインドでの事業拡大に伴い増加したものの、国内事業所の排出が減少したため、グループ全体の温室効果ガス排出量は約4%の減少となりました。DOWAグループのCO2排出量の変動は、外部から受け入れる廃棄物の焼却処理に起因するCO2の排出の影響が大きく、廃棄物の量や組成によって変化します。外部で発生する廃棄物の量や組成をコントロールすることは困難なため、焼却時に発生する熱を発電や蒸気として利用するサーマルリサイクルを進めることで、温暖化防止に取り組んでいます。
DOWAグループでは、世界の低炭素化に向け、再生可能エネルギーの自社事業への導入と、事業を通じた普及拡大に取り組んでいます。
小坂製錬では、1897年(明治30年)、国内で2番目となる水力発電所(大湯川銚子発電所)の運転を開始しました。その後も鉱山開発や事業の拡大に伴い設備の増設と整備を続け、秋田県内に6か所の水力発電所を保有しています。2016年度は48.3GWhの発電を行っており、小坂製錬のエネルギーを賄う重要な電力源となっています。
DOWAグループでは、サーモエンジニアリング太田工場(群馬県)、DOWAハイテック(埼玉県)、エコシステム山陽(岡山県)、アクトビーリサイクリング(熊本県)の事業所で太陽光発電システムを導入しています。2016年度は4社合計で332MWhの発電を行い、事業活動に必要な電力の一部として使用しています。さらに、DOWAエコシステムでは、2016年11月に秋田県大館市に設置したメガソーラー発電所で発電を開始しました。発電量は年間1,561千kWhを想定しており、全量を東北電力に供給します。
DOWAハイテックは、太陽電池(結晶系シリコン型太陽電池)セルの電極部分に使用される「銀粉」を製造する世界最大級のメーカーです。電極用銀粉は低抵抗性や高精細な配線形状などの特性が求められ、製品性能に大きな影響を与える重要な材料として位置付けられています。国内外メーカーのニーズに最適な銀粉を開発・提案し、安定して供給することで、太陽電池の性能向上に大きく貢献しています。
DOWAグループでは、生物多様性基本方針に基づき、事業活動が生物多様性に与える影響の最小化を図るとともに、社会貢献活動を通じた生物多様性の保全を進めています。
私たちDOWAグループは、自らの事業活動が生物多様性が生み出す自然の恩恵を受けており、その恵みを持続的に享受するには生物多様性の保全が重要であることを認識し、社会の一員として生物多様性の保全と持続可能な利用に自発的かつ継続的に取り組みます。
DOWAグループでは、製錬原料として廃電子機器などのリサイクル原料の活用を積極的に進めていますが、品質が安定した自然の鉱石の果たす役割も重要なものと考えています。
主力製品である亜鉛の長期的な安定供給のため、中期計画で目標とする亜鉛自山鉱比率50%超に向け鉱山探鉱・開発案件を推進していますが、鉱山開発・操業は自然環境や地域社会へ与える影響が大きいことから、生態系や水環境などに配慮した開発計画のもと実施します。現在開発を進めている海外鉱山では、探鉱段階から生態系調査や水質などの定期的な環境モニタリングを適切に実施しており、環境への負荷を最小限に抑える取り組みを行っていることを確認しています。
森林資源である紙の供給は重要な生態系サービスの一つであり、気候変動や廃棄物などとも関わる課題です。DOWAグループの製造事業は非鉄金属を中心としているため、水を除き主な原材料に生物資源は使用していませんが、国内外すべての事業所において紙を使用しており、グループ全体では毎年大量の紙を購入しています。このため、コピー用紙やパンフレット類には古紙や森林認証材パルプを配合した紙を採用し、生物資源の持続可能な利用に取り組んでいます。集中購買を行う紙の入札時には、CSR調達方針に基づき調達先企業が「責任ある用紙調達」を行っていることを確認しています。
また、自然保護や環境負荷低減などの環境活動についてサプライヤーに開示を求めており、アンケートやCSR監査によって取り組み状況を確認しています。
明治時代からの鉱山・製錬業による森林伐採と排ガスの影響で広い範囲の森林が失われた小坂では、戦後ニセアカシアや杉の植林によって緑化が進められました。しかし、ニセアカシアは繁殖力が旺盛なものの寿命が比較的短い樹種であり、成長の衰退期に移行しつつあります。DOWAグループでは、2006年に植樹を開始するに当たり、人工林とは異なる人の手による維持管理を必要とせず、自然で安定した森をつくることを目標とし、地域本来の植生を回復する「ふるさとの木によるふるさとの森づくり」に取り組みました。
(公財)国際生態学センターの指導のもと、これまでの12年間で約25種、17万本の植樹を完了しています。1年目に植樹した苗木は大きく成長し、現在では小さな森の様相を示しています。
DOWAグループでは、毎年、国内外の生産拠点での水使用量に加え、取水源と排水先の状況の把握を行っています。事業所内の有効利用を推進して取水量を削減し、グループ全体で水使用量の削減に努めています。
2016年度の水資源投入量は82.4百万m3で、主に製錬工場で使用する冷却水を削減したことにより、前年度比10%減少しました。水資源投入量全体の約83%は製錬などの設備で冷却水に利用する海水で、淡水の使用量は前年とほぼ同レベルの14.1百万m3でした。
2016年度は、コンプレッサーの冷却水を空冷に変更したり循環水利用を開始するなどにより、水資源の保全に取り組みました。
2016年度の排水量は94百万m3で、前年度比10%減少しました。これは冷却水量が減少したことに伴うものですが、年々排水量は減少しています。排水に際しては、排水規制の遵守だけでなく、厳しい自主基準を設けるなど水質保全に取り組んでいます。
DOWAグループでは、天然資源の消費を抑制するとともに、使用済み資源の循環的利用を進めることにより、持続可能な社会形成への貢献を図っています。
2016年度の原料の使用量は1,059千トンで、前年度に比べ約3%増加しました。
2016年度の受入廃棄物量は1,629千トンで、前年度に比べ約15%増加しました。これは汚染土壌の受け入れ量の増加によるものです。
2016年度の製品出荷量は924千トンで、前年度に比べ約46%増加しました。これは主に製錬事業における硫酸の生産量を今年度から算入したことによるものです。
2016年度の廃棄物処理量は416千トンで、前年に比べ約3%減少しました。
2016年度のマテリアルリサイクル量は262千トンで、前年度に比べ約16%増加しました。このうちDOWAグループ内でのリサイクルが163千トン、社外でのリサイクルが100千トンでした。また、サーマルリサイクルは、DOWAグループ内での処理が93千トン、社外での処理が371千トンで、前年度に比べ約11%減少しました。