DOWAグループは、CSR活動を通じて社会と良好な関係を築き、ともに持続的に発展するため、
すべてのステークホルダーから信頼される企業になることを目指して取り組んでいます。
DOWAグループは、よりよい製品・サービスの提供を通してお客様の満足度の向上に、お取引先とは長期的な信頼関係を構築するよう努めています。さらに、環境保全や労働環境の向上など、サプライチェーンを通じたCSRの取り組みを推進しています。
DOWAグループでは、CSR調達方針、行動規範などをとりまとめた「DOWAグループCSR調達ガイドライン」をお取引先に配布し、当社のCSRについての考え方への理解を求めるなど、サプライチェーン全体でCSRを推進しています。このガイドラインは、英語、中国語、タイ語に翻訳し、DOWAの海外事業所にも配布しています。
2016年度は、CSRの取り組み状況を確認いただくセルフチェックアンケートを主要取引先約80社に配布し、そのうち93%を回収しました。回答いただいたお取引先にはフィードバックのレポートをお送りし、現状評価をお伝えしました。また、重点調達先9社について、CSRの実態把握のためのCSR監査を実施し、CSR調達ガイドラインとの適合性を確認しました。保護具着用や消防設備の点検などの「安全衛生」と廃棄物管理などの「環境」分野に関していくつかの指摘を行いましたが、全体的には概ね良好な結果であることを確認しました。
サプライチェーンにおけるCSRの重要性について、お取引先にもご理解いただくことでパートナーシップを強化しつつ、さらなるCSRの向上に取り組みます。
DOWAグループでは、モノづくりをする上で「品質」を重要な経営基軸として位置付けています。主要製造工場は、品質マネジメントシステムの国際規格ISO9001の認証を取得しています。この品質マネジメントシステムをPDCAに基づき継続的に運用することで、製品およびサービスの品質の向上に努めています。
さらに、品質管理の強化に向けた取り組みとして、調達品の品質確保にも力を入れています。サプライヤー各社にご協力いただき、品質・技術の側面から、適切な頻度でサプライヤー調査や監査を実施して調達品品質の確保を図っています。
お客様からいただいたご意見やお問い合わせに対しては、迅速に適切な改善を図ることで、ご満足いただける製品の供給に努めています。情報共有・管理システムの整備を図り、事業所ごとに集められた情報を分類・分析し、評価を実施し、商品・サービスの改良・改善や開発につなげています。
非鉄金属を主力製品として取り扱うDOWAグループは、紛争鉱物に係る企業の責任を重要なCSR課題の一つとして認識し、調達活動におけるサプライチェーンの透明性の確保と責任ある鉱物調達の実践に取り組んでいます。2016年度も引き続き、当社の紛争鉱物管理方針に則り、お取引先に対する調査、お客様からのお問い合わせに対する回答を行いました。また、責任ある鉱物調達を推進するため、紛争鉱物を取り扱っていない製錬所を認定するプログラム(CFS認証制度)を受審し、小坂製錬(金とスズ)、エコシステムリサイクリング(金)の2社がCFSの認定を取得し、素材メーカーとしての調達責任を果たすよう努めています。
DOWAグループは、社会分野の取り組みの中で地域貢献を重点施策として取り組んでいます。国内外の各拠点では、地域とともに歩み発展していくために、地域懇談会などのコミュニケーションやスポーツイベントなどの主催、工場見学やインターンの受け入れなどの地域に根ざしたCSR活動を積極的に展開しています。
千葉県袖ケ浦市で廃棄物処理を行うエコシステム千葉では、市内の小学生を対象として、環境に関する出張授業を行っています。2016年度は市内の小学校2校の5、6年生を訪問し、「なくそう!不法投棄~ルールを守ってクリーンな社会を目指そう~」と題して、不法投棄の問題や排出者の処理責任について楽しく学ぶために、クイズやゲームを取り入れた授業を行いました。不法投棄の仕組みを理解するためのトランプゲームでは、どうしたら不法投棄を減らせるのか積極的に意見を出し合いました。
次代を担う子どもたちに環境について学んでもらうきっかけとして始めた出張授業は6年目を迎えました。毎年エコシステム千葉の従業員が講師役となり、ごみの出し方のクイズやプレゼンを行っています。「廃棄物問題」を身近に感じていただける機会となるよう、今後も出張授業の取り組みを継続していきます。
秋田県の十和田湖畔で開催されるDOWA杯は、2016年度に27回目を迎えた歴史あるジュニア・クロスカントリースキーの大会です。毎年、東北3県の小・中学校から多くの子供たちが参加し、過去の出場者にはオリンピックなど国際大会で活躍する選手もおり、秋田県スキー連盟の公式大会に認定されています。
運営にはDOWAグループの従業員、自治会、地元スキークラブの方々など、約130名のスタッフが携わり、現地の清掃や1か月以上かけてのコース整備、会場設営から最後の片づけまで、さまざまな作業を協力しながら実施しています。本大会は、四半世紀以上にわたり、DOWAグループと地域の皆さまとのきずなを深めるのに欠かせないイベントになっています。
DOWAエコシステムは、環境省の災害廃棄物処理支援ネットワークのメンバーである(一社)日本災害対応システムズの一員として、2016年4月に発生した熊本震災の現地支援を行っています。東日本大震災でも震災廃棄物の処理を手掛けたDOWAグループは、これまでの経験と専門性を活かし、熊本県内外の廃棄物処理関連企業の連合体に担当者を派遣し、大量の廃材やがれきが運び込まれる震災廃棄物の二次仮置き場の建設と運営のサポートを行っています。
熊本県水俣市で家電リサイクルを行うアクトビーリサイクリングでは、環境省と熊本県の支援要請に応え、特に被害が甚大だった地域で被災家電製品の分別や運搬、処理を行いました。4月から5月にかけての34日間、ゴールデンウイークも含め毎日10人ずつを現地に派遣するなど、のべ200人の従業員が支援に携わりました。被災廃棄物集積所で家電リサイクルが可能かどうかの選別作業や整理を行い、最終的に12,404台ものテレビや冷蔵庫、洗濯機、エアコンをリサイクルに回すことができました。
DOWAグループは、行動規範において、人材が企業活動のすべての基本とし、学歴差、年功差、男女差などに関わらず仕事を進める能力で評価することを定めています。その人材が最大限に力を発揮できるよう、以下の目標を掲げ、さまざまな取り組みを行っています。
DOWAグループでは、事業計画に合わせた適正な人員配置を推進しており、事業展開に必要な能力を有する多様な人材の雇用に努めています。
2016年度末(2017年3月31日)時点の国内従業員数は6,072名で、昨年より194名の増加となりました。なお、国内正規社員のうち男性は3,787名(92%)、女性は321名(8%)です。近年はグローバル化に伴い、海外事業所の従業員の割合が増加しており、2016年度の海外従業員数は全体の約33%を占めています。
年度 属性 |
2014年度 | 2015年度 | 2016年度 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
男性 | 女性 | 男性 | 女性 | 男性 | 女性 | ||
国内正規社員 | 役員 | 130 | 0 | 121 | 1 | 128 | 1 |
管理社員 | 735 | 12 | 799 | 9 | 758 | 9 | |
一般社員 | 2,786 | 306 | 2,828 | 302 | 2,901 | 311 | |
国内非正規社員 | 派遣社員 | 479 | 529 | 633 | |||
パート | 924 | 314 | 802 | 318 | 1,050 | 281 | |
総計 | 5,686 | 5,709 | 6,072 |
年度 属性 |
2014年度 | 2015年度 | 2016年度 |
---|---|---|---|
日本 | 5,686 | 5,878 | 6,072 |
アジア(日本以外) | 2,903 | 2,897 | 2,899 |
欧州 | 16 | 22 | 23 |
北米 | 92 | 96 | 96 |
中南米 | 3 | 1 | 1 |
総計 | 8,700 | 8,894 | 9,091 |
DOWAグループでは、「グローバルな事業で勝ち抜き、価値を認められる人材集団であり続ける」ことを目指し、人材育成の面でも、各職場で継続的に教育を実施する取り組み、若手社員のOn The Job Training(OJT)の強化策の推進、実践的な教育機会の拡充、異なる職務の経験(計画的異動)、自発的な人事異動のしくみなどを通じた人材育成・活用施策を展開しています。
DOWAグループ全体で行う階層別教育、専門別研修のほか、事業所ごとに技術、環境、安全など、幅広い教育を実施しています。2016年度は、各階層の次世代リーダー育成のための選抜型教育機会を増強するとともに、引き続き、人材を育成する文化を定着させる取り組みを展開しました。
めまぐるしく変化する時代や環境に対応できる人材を育てるために、より戦略的、より本質追求型の教育を目指して、毎年、研修の見直しを実施しています。2017年度は、人材を育成させる文化の定着に向けた取り組みとして、新人・若手向けOJTの強化施策を導入予定です。また、ダイバーシティやグローバル展開の加速という外部環境変化に対応できるような人材集団となるべく、既存の教育施策も影響範囲を広げて展開する予定です。
対象者 | 研修内容 | 参加者数 (名/2016年度) |
のべ研修時間 (時間/2016年度) ※研修時間のみ |
---|---|---|---|
経営幹部(継続) | トップマネジメント研修 | 57 | 462 |
次期経営幹部(継続) | ビジネスリーダー養成研修 | 16 | 1,440 |
管理職(継続) | マネジメント研修、部下育成研修 | 67 | 2,275 |
中堅社員(継続) | グローバルチャレンジプログラム | 9 | 4,185 |
中堅社員(新規) | 問題解決思考力特訓プログラム | 16 | 320 |
中堅社員(継続) | リーダーシップ研修 | 48 | 1,139 |
生産現場監督者(新規) | 第一線監督者養成プログラム | 20 | 1,650 |
入社3年目まで(継続) | 新入社員研修、OJT、フォローアップ研修(スキル向上、組織内の自己確立) | 222 | 14,605 |
行動規範にある「仕事を進める能力で評価する」理念から、DOWAグループでは、以下の方針のもと、公正な評価・処遇が行われ、育成に活用される状態を目指して取り組んでいます。
考課者・被考課者に対する訓練をグループ全体での取り組みと位置付け、継続的な訓練の機会を設けることで、適切な評価・処遇・育成に努めています。2015年度から、全国の事業所において、被考課者説明会および考課者トレーニングを開催しているほか、新任マネージャーに対する考課者訓練も引き続き重点課題として行っています。また、制度運用状況を評価するため、制度サーベイを例年実施しています。抽出した課題は翌年の被考課者説明会および考課者トレーニングにおいて新たに説明項目として加え、従業員の制度への理解促進、および適正な運用に努めています。
従業員のキャリア開発支援、および人材の流動化を目的として導入した制度で、対象者が自分のキャリアについてPR(これまでの実績とこれから実現したいこと)を行い、興味を示した各事業会社の幹部との面談で双方が合意すれば異動が実現するものです。対象者は上司・自部門を経由することなく、募集のある部門へ直接異動希望を出すことができます。さまざまな業種の従業員が、毎年、この制度により新たな部署でのキャリアを開始しています。
グループにおけるグローバル展開や事業領域の拡大する中、多様な個性を持つ従業員がそれぞれの力を十分に発揮することが、企業の成長につながると考えています。
DOWAグループはダイバーシティ推進の一環として、国籍によらずグローバルに働くという考えのもと、採用段階からの仕組みづくりを進めています。総合職の新卒採用において、海外大学を卒業した日本人留学生や海外からの外国人留学生を積極的に採用しています。さまざまな国・地域での人材雇用の拡大に伴い、採用時における人権への配慮とともに、当社の理念や方針などを伝える教育を行っています。
また、海外事業所へ赴任する従業員に対しても、赴任前に研修を実施し、異文化理解などの多様性受容教育も実施しているほか、2015年度からはグローバルで活躍できる人材層を拡充する目的で、海外事業所での実地研修を含むグローバルチャレンジプログラムを開始しています。今後も、グローバル人材層の拡充に取り組んでいます。
DOWAグループでは、海外拠点の従業員も含めたグループ全体での教育を推進しています。2016年度は、中国、タイ、インドネシアの現地採用スタッフが来日し、本社や主要事業所、研修センターにて安全、コンプライアンス、設備保全などに関する研修を行いました。このほか5つの事業会社が中心となり、現地採用スタッフを日本に呼び寄せ、一定期間日本において技術研修を実施しました。
総合職採用の女性は入社人数全体の1~2割と、決して多くはありませんが事業環境変化、職場環境変化に伴い、女性社員比率は長期的には増加しています。採用・昇格・昇進などにおいても性別による区別なく、実力に応じた評価を行うなど、女性が活躍できる基盤は整っていると言えます。2016年度は、この基盤をより強固なものとすべく、女性を部下に持つ上司向けの教育プログラムを実施しました。多様な人材がそれぞれの能力を最大限発揮できる働き方を目指せるよう、従業員と会社が一丸となって意識改革に努めています。2017年度は、意識改革施策の拡大および制度改定を予定しています。
定年後も引き続きDOWAグループでの勤務を希望する社員に対して、2013年度から、再雇用制度を改定し、役割に応じた処遇体系の新設など、定年年齢に到達した社員がさらにやる気を持って働くことのできる環境整備を行っています。また、定年後のライフプランに関する情報提供を目的として、毎年、一定年齢に到達した社員を対象としたセミナーを開催しており、2016年度は70名を超える従業員が参加しました。
2016年度は、グループ全体の法定障がい者雇用率を達成することができませんでした。当社の製錬や金属加工などの現場では、障がいのある方々にとって必ずしも働きやすい環境が実現できるとはいえないため、全事業所で一律の増加を目指すのではなく、雇用事業所の中でより質の高い職場環境づくりを進めることや、職場体験の推進に取り組む一方で、障がい者雇用を専門とする人材紹介会社の活用なども並行して行い、雇用の増加に取り組みます。
DOWAグループのワーク・ライフ・バランスは、従業員がそれぞれのライフスタイルに応じて能力を最大限に発揮できるよう、仕事と家庭生活の両立を重視し、フレックスタイムなどの柔軟な勤務制度や子育て・介護目的の休暇制度の導入などの職場環境の整備を進めています。
DOWAグループでは、柔軟な勤務時間がとれるようコアタイム無しのフレックスタイム制度を導入しています。また、ボランティア休暇や一定の勤続年数ごとに取得できるリフレッシュ休暇制度のほか、子の看護休暇の有給化(5日まで)、出産・育児などを理由とした自主休職制度、育児費用の一部補助制度など、法に定められている以上の支援策を整備しています。
年々各制度の利用者数は増加しており、2016年度は女性28名の育児休業取得がありました。また、子の看護休暇は男性24名、女性24名の取得がありました。
年次有給休暇取得状況については、平均付与日数20日に対し約63%でした。事業所ごとに業務状況に応じ、計画年休の推進や年次途中の取得状況のフィードバックなどを通じて、取得率の向上に取り組んでいます。
国内の事業所では、法令に従い、時間外労働に関する労使協定を締結し、所轄の行政当局に届け出ています。2014年度からは、勤務管理システムを刷新し、一定の労働時間を超過した場合に管理者への改善計画の提出の義務付けや、労働時間管理の主体となる新任マネージャーを対象とした労務管理教育を実施しています。また、2016年度に労働時間管理に関する労使の専門委員会を設置し、労働時間管理の方針および基準に関し提言を行っております。2017年度はこの方針・基準に基づき、グループ全社の労働時間管理および低減へ、さらに注力していく所存です。
DOWAグループでは、毎年新入社員を対象として、ワーク・ライフ・バランスに関するアンケートを実施しています。2016年度は、90%以上がフレックスタイムを、75%が短時間勤務の活用を希望するなど、柔軟な労働時間制度について関心が高まりました。また、総じてワーク・ライフ・バランスに関する制度への関心が高く、男女の区別なく仕事と家庭の両立に意欲的であることがわかりました。
DOWAグループのワーク・ライフ・バランスの取り組みの中では、「コアタイムなしのフレックスタイム」や「有給休暇の取得率向上のための取り組み」が評価されました。
今後もこれらのアンケート結果も参考にしながら、ワーク・ライフ・バランスの取り組みを進めていきます。