DOWA CSR報告書2017

特集:DOWAのあゆみ 金属の価値を高めるDOWAの技術

資源から原料、材料へ

 DOWAグループは、鉱山・製錬会社として、長く鉱石から金属という資源を取り出して「原料」として提供していましたが、次第に原料を加工し、金属条や棒といった「金属材料」を生産するようになりました。さらに金属材料にめっきや加工を施すことで電気特性や磁性などの新たな機能を加え、「機能性材料」へと進化させました。また、硬度や靭性、耐食性を向上させる熱処理加工など、金属の力を引き出して価値を高めるさまざまな技術を構築してきました。

イメージ写真

機能材料技術

 DOWAの機能材料製品であるメタル粉は、放送局向けビデオテープやデータストレージ用テープなど、高密度・大容量の磁気記録メディアに使用されています。当社の磁性体技術が活かされたメタル粉は世界のトップシェアを占め、情報社会高度化の一翼を担っています。
 この分野におけるDOWAの技術の強みは、自社の柵原鉱山(岡山県)から産出された硫化鉄鉱からの酸化鉄の生産からスタートし、これらを原料としたフェライト磁石粉から、より微細なメタル粉の生産へと進化を遂げるなかで、さまざまな技術を蓄積したことにあります。メタル粉は、水酸化鉄を酸化鉄にし、さらに還元して生産しますが、結晶が小さく、かつ個々のサイズや形状が揃っていることが求められます。当社の磁性材料技術は、結晶制御、高純度化、薄膜、表面界面などの厳しい要求を高いレベルでクリアしています。さらにメタル粉以外にも、プリンタや複写機のマグネットロールやモーターなどに使用されるボンド磁石用フェライト粉、複写機内のトナーを運搬する役割を担うキャリア粉などについても、電気特性(抵抗)、磁気特性(磁化力)および物理特性(比重、粒度分布)などにおいて、DOWAの制御技術を活かして幅広いニーズに対応しています。

今後の主な取り組み

低炭素社会の実現に向けて、さらに需要の拡大が見込まれる燃料電池向け電極材料のサンプルワークを拡大しています。

写真

燃料電池向け電極材料

金属加工技術

 DOWAでは、自動車や電子機器などに使用されるコネクタやリードフレーム向けに、高特性の銅合金を製造しており、スマートフォンをはじめとした情報通信機器にもDOWAの銅合金が多数使われています。たとえば、スマートフォンに組み込まれる小さな部品に使用されている銅合金は、複雑な形に加工できる曲げ加工性と高い強度が求められ、当社ではそれらの特性を併せ持つチタン銅などを開発、製造しています。
 この分野におけるDOWAの技術の強みは、用途・目的に応じた合金設計、組織制御により高機能な銅合金を開発するとともに、溶解鋳造、高精度圧延、熱処理、切断、プレス、めっきなどのプロセス技術を高め、高機能・高付加価値な金属加工品を生み出していることです。当社のコネクタ材は、強度、電気・熱伝導性、耐熱性、信頼性といった材料特性を高いレベルで発現することに加え、ユーザーの加工精度を高めるためのプロセス技術によって高い信頼を得ています。

今後の主な取り組み

導電性、強度などを高めた銅合金の新規開発、拡販に取り組んでいます。

写真

銅合金条

熱処理技術

 自動車をはじめ建設機械などをより永く使用できるようにするために、エンジンや変速機の回転部などの過酷な使用環境におかれる金属部品に、熱処理・表面処理を施すことで耐久性を高め、小型化や軽量化に貢献することができます。DOWAはこうした熱処理・表面処理分野における業界のリーディングカンパニーとして、金属表面の耐摩耗性を向上させる浸炭処理をはじめ、耐疲労性を向上させるガス軟窒化処理(タフナイト)、金型などの耐摩耗性を格段に向上させるTD(熱拡散)処理、耐焼付性を向上させるコーベット処理など、20種類もの表面処理プロセスを提供することができます。
 この分野におけるDOWAの技術の強みは、自社で設計・製造した熱処理・表面処理設備をお客様に提供するとともに、自社の熱処理工場で使用することで、処理技術やノウハウも自社内で構築し、開発からメンテナンスまでのハード・ソフト両面の総合エンジニアリングを提供できることにあります。当社で生み出された技術は、ハード面では雰囲気熱処理設備を中心に全世界で採用され、ソフト面では浸炭焼入を中心としたさまざまなプロセスと設備開発で培った独自の技術ノウハウによる高品質な熱処理・表面処理をグローバルに提供しています。

今後の主な取り組み

メキシコやインドにおいて新工場を立ち上げるなど、自動車産業が成長する海外地域での事業拡大を進めています。

写真

熱処理加工品

ページトップへ