DOWAグループでは、資源のリサイクルや、廃棄物を適正処理することによる無害化・安定化、フロンや代替フロン類の破壊処理などの環境事業を行なっています。
これらの活動が社会や環境に与えている効果については、外部経済効果(External Economical Benefit Evaluation=EEBE®)※1という考え方を使って評価しました。
2010年度に受入が増加した主な品目は、汚泥(前年比14千t増加)、廃アルカリ(同21千t増加)、特別管理廃油(同4千t増加)、特害廃油(同1千t増加)であり、前年度同様無害化による外部経済効果が減容化による外部経済効果より大きいという結果となりました。
効果 | 産業廃棄物受入量 | 埋立最終処分量 | 社会的コスト単位 | EEBE® |
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減容化 | 非特別管理 736 千t/年 |
焼却灰 240 千t/年 |
(管理型最終処理施設の単価) 15,000円/t |
(非特別管理産業廃棄物-焼却灰)× 管理型最終処理施設の単価 7,000百万円/年 (前年比+6%) |
無害化 | 特別管理 140 千t/年 |
ばいじん 78 千t/年 |
(遮蔽型最終処理施設の単価) 200,000円/t |
(特別管理産業廃棄物-ばいじん)× 遮断型最終処理施設の単価 12,000百万円/年 (前年比−33%) |
合計 | 19,000百万円/年 (前年比−24%) |
金属リサイクルによる外部経済効果については、回収された金属自体の価値(国際相場価格としてLME:ロンドン金属取引所価格に基づく)と金属を含有するリサイクル原料使用を通じた廃棄物の減容による埋立処分場延命効果の両方を合わせて評価しました。2010年度の金属リサイクルでは、秋田ジンクリサイクリング稼働に伴い、1.2千tのリサイクル原料由来の亜鉛を回収したほか、回収品目としては酸化鉄(3千t増加)が増加しました。金、銀の回収量が減少しましたが、金属価格上昇により回収によるEEBE®は増加しました。
効果 | 金属リサイクル 原料使用量 |
埋立最終 処分量 |
社会的コスト単位 | EEBE® |
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減容化 | 90 千t/年 | 0.9 千t/年 | (管理型最終処理施設の単価) 15,000円/t |
(全リサイクル原料受入量-埋立最終処分量)× 管理型最終処理施設の単価 1,300百万円/年 (前年比−13%) |
効果 | 回収量 | LME価格 2011.3.31時点。 インジウムについては2011.3.30時点 |
EEBE® |
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金回収 | 5,800 kg/年 | 3,800,000 円/kg | 22,000 百万円/年 (前年比+10%) |
銀回収 | 350,000 kg/年 | 100,000 円/kg | 35,000 百万円/年 (前年比+59%) |
銅回収 | 8,400 t/年 | 830,000 円/t | 6,900 百万円/年 (前年比-9%) |
鉛回収 | 22,000 t/年 | 260,000 円/t | 5,700 百万円/年 (前年比-3%) |
亜鉛回収 | 1,200 t/年 | 240,000 円/t | 200 百万円/年 (前年比+3900%) |
パラジウム回収 | 1,200 kg/年 | 2,000,000 円/kg | 2,400 百万円/年 (前年比+41%) |
インジウム回収 | 210,000 kg/年 | 57,000 円/kg | 11,900 百万円/年 (前年比+19%) |
合計 | 32,000 t/年 | 84,000 百万円/年 (前年比+25%) |
フロン・代替フロンの破壊によるオゾン層破壊の防止と温暖化防止の効果評価については、被害算定型環境影響評価手法LIME※2を用いてEEBE®に換算しました。家電リサイクル工場からの断熱材フロン受入を開始した事業所でCFC-11処理量が増加したことが外部経済効果拡大の主因となりました。
フロン・代替フロン破壊による効果 | EEBE® |
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地球温暖化への影響 オゾン層破壊への影響 |
310百万円/年 (前年比+47%) 310百万円/年 (前年比+82%) |
合計 | 620百万円/年 (前年比+63%) |
※1 EEBE®とは:四大監査法人、大手企業、大学教授らが参加して結成された中間法人『クラブ・エコファクチュア』で研究された、企業による環境活動を金額換算して評価するための数量的指標です。
※2 LIME(Life cycle Impact assessment Method based on Endpoint modeling)とは:産業技術総合研究所などにより開発された、物質のライフサイクルを考慮した人間健康と社会資本への影響評価指標です。
※3 フロン・代替フロンの破壊に関するEEBE®については、LIME係数が設定されているフロン類を対象に、温暖化防止とオゾン層の破壊防止効果について算定しました。
※4 EEBE®の算定にあたっては、国内事業所の活動に由来するものを対象としています。
株式会社インターリスク総研 コンサルティング第一部 環境グループ
マネージャー・主席コンサルタント 猪刈 正利
DOWAグループでは、2004年発行の環境報告書から、毎年、外部経済効果EEBE®の算出結果を外部公表されており今回が8回目になります。
現在、資源エネルギー価格は上昇傾向にあり、非鉄金属価格も同様です。例えば銅の場合、今回の報告書では単価が83万円(回収量は8,400トン/年)、1年前の報告書では同73万円/トン(同10,000トン/年)、そしてまたEEBE®の外部公表を始めた2004年当時は同37万円/トン(同15,000トン/年)の単価にてEEBE®を算出しています。
このことからも、貴重な資源をリサイクルするDOWAグループの本事業の重要性は益々高まっていると言えるでしょう。単に1年間のEEBE®の算出結果を公表するだけではなく、二酸化炭素等の環境パフォーマンス・データと同様に、その長期的傾向についても解説を付して公表することを期待します。