特集2 東日本大震災への対応 東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)に伴う当社の対応について

2011年3月11日に発生した日本観測史上未曾有の災害となった東日本大震災により、幅広い地域で甚大な被害がもたらされました。
被災された皆様には心よりお見舞い申し上げます。また、この困難な状況の中、復興の努力を続けておられる方々に深い敬意をささげます。
DOWAグループでは幸いにも、直接的な従業員への被害や、設備の大きな損傷はありませんでした。しかしながら、資材・燃料の入手困難や電力供給の不足、頻発する余震への対応などの影響を受けました。また、5月現在、DOWAグループでは、全事業所で操業を再開していますが、サプライチェーン全体で見ると震災の影響を受けている協力会社や取引先などもあるため、長期的に見ると間接的な影響が大きくなっていくことも考えられます。
今後は、自社の回復に努めるだけでなく、当社と社会の繋がりである本業を通じて災害の復興に取り組んでいきます。
当社の震災対応と、その後の取り組みについてご報告いたします。

1 東日本震災対応活動

本社では

DOWAグループの本社は、千代田区秋葉原に位置する複合オフィスビルの22階にあります。
千代田区は約34,000社の事業所が集中し、区民約5万人に対して約85万人の昼間区民が活動するという、他には類を見ない特性を持っています。このため、水害や地震などの災害時には交通機関やインフラへの影響から、多くの帰宅困難者が出ると予想されている地域です。
当社は、災害に備えて、区の帰宅困難者避難訓練やビルが毎年行っている避難訓練に参加するほか、全従業員分のヘルメットの設置、水・食料の備蓄などを行っていました。このような備えがあったため、震災時には交通手段回復まで社内にとどまる手段をスムーズに講じることが出来ました。
従業員の安全確保を最優先に考え防災体制を構築してきたことは、震災発生直後の初動対策に活かされました。
今後は、今回の教訓を活かし、震災マニュアルの見直し等を行い、さらなる体制の強化に努めます。

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千代田区帰宅困難者訓練

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UDXビル避難訓練

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震災対応状況

3/11(金) 14:46
地震発生(震度5)

  • 本社勤務中の従業員(約300人)は、訓練通りヘルメット着用の上、机の下に潜るなどして安全確保を実施
  • 社内放送により、従業員は一定期間社屋にて待機する旨を周知

15:00〜状況確認

  • 余震が続く中、事業会社ごとにホワイトボードを設置し、従業員安否や各所の被害状況を確認。ホールディングスで集約、情報の共有化。 
  • HD人事、総務部門が本社社員対応の対策本部を設置。

18:00〜帰宅対応

  • 余震が落ち着いたため、帰宅可能な従業員をヘルメット着用の上、直ちに帰宅させる
  • 各社で従業員の所在確認名簿を作成、帰宅確認を実施
  • 帰宅困難な従業員に、備蓄品の水と非常食を配布
  • 女性従業員には、会議室を宿泊所として用意
  • 錦糸町の研修センターを宿泊先として従業員に開放、希望者を募りグループで本社より移動

3/12(土)

  • 交通機関再開にあわせ、従業員を帰宅させる
  • 携帯メール、インターネット等を活用し、従業員の所在確認を実施

3/13(月)以降

  • 被災事業所の状況確認、支援の準備〜実施
  • 取引先企業等への自社状況報告および対応。
  • 節電対応

事業所では

写真当社グループには、東北・関東に多くの拠点があります。今回の震災を受け、秋田県内の一部の事業所が、操業を停止しました。その後、停電ならびに設備損傷の点検等の影響もあり、保安操業のような状態がしばらく続きましたが、3月末から4月上旬にかけ、順次操業を再開しています。
2010年度、秋田製錬を中心とする飯島地区の事業所では、地震を含む複合災害を想定した大掛かりな訓練を実施していました。このため、今回の震災では、照明が消え、電話などの通信手段が使えない中で速やかに設備の停止を行い、排水・排ガスなど外部への環境影響を出さないなどの迅速な対応を取ることが出来ました。
このような日頃の訓練の重要性の再認識と共に、各事業所では、防災体制・リスク管理の見直しなどを進めています。

2010年の
秋田製錬の訓練風景

2 支援活動について

支援物資の提供

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カイロ用鉄粉

震災後、HD総務部門を中心に、被災地で必要とされている物資の支援の検討を行い、時節柄、防寒用品が必要とされているとの情報から、当社が素材を提供している使い捨てカイロを提供することになりました。そこで、製造拠点である岡山地区が中心となり、物資を調達し、直接、宮城県へ90ケース27,600個を送るとともに、倉敷市の協力を得て自衛隊機で被災地へ75ケース、22,800個を搬送しました。
また、当社事業と関わりの深い太平洋側に位置する製錬所も大きな被害を受けました。そこで、関係するDOWAメタルマイン、DOWAメタルテックが中心となり、飲料水・お茶24,000本、缶詰4,000個、パック食品600kg、また衛生用品などの救援物資を調達するとともに、DOWAグループの同和通運等を使い、現地へ直接配送しました。

義援金

DOWAグループでは、被災者の救済や被災地の復興に役立てていただくための義援金として、1億円を社会福祉法人中央共同募金会に寄贈しました。また、DOWAグループの役員・従業員に募金を呼びかけたところ、全国の事業所より325万円の義援金が寄せられ、同じく社会福祉法人中央共同募金会に寄贈しました。

3 今後の取り組み

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DOWAエコうちわ

節電の強化

震災に伴う電力需給のひっ迫を受け、当社では、本社及び全国の拠点で節電を強化しています。本社では、ビルのエスカレーター・エレベーターの一部停止のほか、冷暖房の設定調整、照明の間引き点灯などの対策により、電力削減を行っています。
今夏の対策としては、東京本社でのクールビズの徹底、うちわの配布などを通じた周知活動も行い、省エネと同時に社員の意識向上にも努めます。

本業を通じた支援活動

DOWAグループは、何より本業を通じた支援こそが使命であると考えています。
当社の銅や亜鉛、鉛やレアメタルなどの素材を使った電子材料や部品は、自動車、家電、情報通信、さらに新エネルギー分野において重要なマテリアルです。このような日本を支える産業の復興とさらなる成長のために、サプライチェーンの上流に位置する企業として、当社は必要とされる素材や部品を安定して供給し続けられるよう、全力で取り組んで参ります。
また、環境事業を行うDOWAエコシステムでは、仙台に復興支援チームを立ち上げました。グループの廃棄物処理、リサイクル、土壌浄化の事業を通じて、支援を行うことを考えています。この復興支援の中で最も解決したいのは、大量の災害廃棄物の問題です。災害廃棄物は、衛生確保、環境保全、地域生活の復興な
どにも影響を与えているため早期処理が喫緊の課題ですが、現状では限られた仮置場用地での分別、混合廃棄物の問題なども抱えており、平常時のような収集運搬・選別・適正処理の対応は困難です。
このため、DOWAとして何ができるかを考え、当社が保有する施設・技術だけでなく、被災自治体や企業の方々と連携し、社会全体のシステムを活用することで大きな力となるよう、継続的な支援活動を実施していきます。

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