第三者意見 DOWA CSR報告書2011

ピーター デイヴィッド ピーダーセン

株式会社イースクエア代表取締役
ピーター デイヴィッド ピーダーセン
Peter David Pedersen

プロフィール

1967年デンマーク生まれ。95年コペンハーゲン大学文化人類学部卒業。企業コンサルタントとして、環境経営コンサルティングや国際シンポジウムの開催などを行う。2000年9月、CSR・環境コンサルティングを手がける株式会社イースクエアを設立し、代表取締役社長に就任。戦略、コミュニケーション、教育、マーケティング、事業開発などの分野で企業を支援。CSR分野におけるグローバルでの知見、企業のビジョンを引き出すファシリテーション能力を生かし、グローバル企業に対し、戦略的コンサルティングを行う。

CSR報告書2011 報告内容について

循環型社会へのDOWAグループのコミットメント、および事業を通じた貢献と進捗状況が一望できる報告書となっています。環境マテリアルフローや環境経営、外部経済効果など、数値データを含む経年の活動成果報告がなされていると同時に、社会背景や技術についての読者に配慮した説明、各事業の特性・特徴、現場の担当者の声などにより、一般的に馴染みの薄いリサイクル技術や素材に関する理解を促進する構成と内容です。
DOWAグループが長年培ってきた技術、ノウハウ、システムも、日々の改善に向けた地道な取り組みと、既存のものに縛られず新たなことへ挑戦する精神によって積み上げられたことが感じられます。

さらなる改善に向けて

「環境」を軸として、DOWAグループの本業を通じた社会への貢献と事業の発展が形成されていることは素晴らしいことですが、報告書の中で使われているCSR経営と環境経営のそれぞれの定義と位置づけが不明確な印象を受けます。特にCSR経営は、環境以外の側面である社会課題をDOWAグループとしてどのように捉え、どういった全体像と優先順位のもとに取り組みを進めるかという方向性、および管理推進体制を明確に示していくことが求められます。
トップメッセージにもある通り、企業の総合的な対応力を形成するためにも社員の皆さんにとって働き甲斐があり、個々の強みや個性が活きる職場環境づくりが重要となります。研修やワーク・ライフ・バランスに関連する制度など、制度構築は進んでいるように見受けますが、それらの制度がより多くの社員の方々に活用され、多様性を重視する企業風土として定着させていくことが次の課題となるでしょう。また人権に関する方針や取り組みの説明は、今後さらにグローバル企業に求められるところです。

今後の取り組みへの期待

DOWAグループの事業のグローバル化が急速に進む中、次に最も期待したいのは、企業としての真のグローバル化です。世界の循環型社会実現に向けて、DOWAグループの役割と社会からの期待はますます増大します。DOWAグループの環境・リサイクル技術力やきめ細やかな管理能力を発揮していただくとともに、他業種や外部ステークホルダーとの積極的な協働による取り組みの拡大、より広域なリサイクルシステムの構築などにおけるリーダーシップを期待しています。

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