2010年度のDOWAグループ全体での温室効果ガス排出量は1,341千t(国内1,316千t、海外26千t)で、国内における温室効果ガス発生量は、昨年度に比べて12%増加しました。
環境事業においては、受入廃棄物量が前年比9%増となり、なかでも廃油、廃プラスチックの受入が増加したため、受入廃棄物の焼却処理に起因するCO2排出量は、前年比19%増で504千tに達しました。廃棄物受入側がコントロールしてCO2排出量を削減することは困難ですが、廃棄物焼却熱を使った自家発電や蒸気利用などのサーマルリサイクルを進め、環境事業の自家発電量は前年比45%増となる26GWhに達するなど、CO2排出量の抑制に努めました。
製品製造事業においては、全般的な景況回復を受け、電気亜鉛製品の前年比7%増、フェライト粉製品の前年比28%増など製品生産量が増加したことにともない、CO2排出量が前年比9%増の670千tとなりました。製品の増産を行うなかで、岡山地区において軽油からバイオディーゼル燃料(BDF)への切り替えや秋田地区において焙焼炉での蒸気発生効率向上、硫酸プラントでの蒸気回収などによる重油ボイラーの使用量節減などのCO2排出量抑制施策を実施しました。
東日本大震災とそれに伴う電力・資材不足などにより、国内の事業環境は不透明な状況にありますが、エコプロダクトの開発・提供を通じた環境貢献を積極的に進めるとともに、ひきつづき省エネなど温室効果ガス排出削減施策を着実に実行していきます。
※CO2排出量については、原則として、系統電力購入量、化石燃料消費量、および受入廃棄物量に対して地球温暖化対策の推進に関する法律(温対法)における排出係数を乗じて求めています。受入廃棄物由来のCO2排出量に関しては、この報告書の作成にあたり算定条件を設定しているため、行政への報告値と必ずしも一致しない場合があります。また、日本と海外の廃棄物の分類が異なることと、海外事業所の受入廃棄物に対し適切な排出係数を設定するのが困難であることにより、廃棄物起源のCO2排出量については国内事業所分のみ表示しています。
〈 電力起源+燃料起源 〉
〈 廃棄物起源 〉 ( 国内のみ)
〈 年間温室効果ガス発生量の推移 〉(廃棄物起源は国内のみ)
その他の排出量
2010年度のGHGs由来のCO2排出量は、23,400kg- CO2でした。これは、ハイドロフルオロカーボン(HFC-134a:18kg)の使用によるもので、DOWAグループ全体の温室効果ガス排出量の0.002%とわずかな量ですが、地球温暖化防止の観点から今後も削減に取り組みます。
■DOWAグループの事業を通じた温室効果ガス排出量削減
事業 | 製品・サービス品目名称 | 2010年度中に達成した主要な内容 |
---|---|---|
製品製造 事業 |
亜鉛加工品 | LPG 原単位2009年度比12.6%削減 |
非鉄金属地金 ( 金、銀、銅、鉛) |
新炉の操業度アップ、エネルギー原単位削減 | |
貴金属回収 | エネルギー原単位前年度比1.4%削減 | |
伸銅品製造 | 製品歩留1.2%向上達成 | |
伸銅品販売・切断加工 | 板加工歩留り1%向上 | |
伸銅品販売・切断加工 | 電気使用量の削減 | |
伸銅品販売・切断加工 | 販売先からのスクラップ回収 | |
熱処理加工部品 | エネルギー使用原単位1%削減 | |
浸炭・TD プロセス 加工品 |
都市ガス・電力使用量の重量原単位で2009年度比7%削減 | |
メタル粉の製造 | α法での3バッチ連続生産化 | |
銅粉の製造 | 反応時間、乾燥時間の最適化による使用 エネルギー削減 |
|
GaN 系HEMT エピ基板 |
大口径量産化 | |
鉄粉、キャリア粉 | エネルギー原単位2009年度比6%削減 |
事業 | 製品・サービス品目名称 | 2010年度中に達成した主要な内容 |
---|---|---|
環境事業 (国内) |
廃棄物処理 | 焼却炉稼動による廃棄物発電 |
海外事業所 | 金属製品の加工 | 製品電力原単位の削減 (201→192kWh/t) |
金銅残渣回収 | 工程都市ガス使用量の7%削減 | |
廃棄物処理 | 未利用熱回収前年比倍増 |
2010年度の排ガス排出量は9,203百万m3( 国内8,841百万m3、海外362百万m3)で、国内の排ガス排出量は、前年度に比べ18%増加しました。
国内の窒素酸化物の排出量は環境事業における廃基盤受入などにより前年比8%増加しましたが、重油使用量減少などにより、硫黄酸化物の排出量は28%、ばいじんの排出量は2%、それぞれ前年の排出量に比べて減少しました。
〈 年間排ガス量の推移 〉
〈 物質別大気排出量の推移 〉(製品製造事業)
〈 物質別大気排出量の推移 〉(環境事業[国内])
〈 物質別大気排出量の推移 〉(海外事業所)
2010年度の排水量は約97百万m3(国内97百万m3、海外0.5百万m3)でした。水使用の大部分を占める製錬部門において水使用量を削減した結果、DOWAグループ全体の排水量が前年比5%減少しました。
BOD(生物化学的酸素要求量)およびCOD(化学的酸素要求量)は、環境事業(国内)において減少した一方、製品製造事業では生産増を受け増加し、DOWAグループ全体ではそれぞれ前年度比で3%および7%増の水準となりました。
〈 年間排水量の推移 〉
〈 物質別水域排出量の推移 〉
2010年度の廃棄物発生量は約383千t(国内363千t、海外14千t)で、国内における廃棄物発生量は、前年度に比べ5%増加しました。これは主に、エコシステム千葉における受入廃棄物焼却処理量増加により、燃えがらが増加したことによるものです。
国内事業所から発生する廃棄物の種類としては、産業廃棄物が92%、一般廃棄物(事業系)が8%で、産業廃棄物の内訳として主なものは、燃えがら(27%)、鉱さい(21%)、汚泥(19%)、ばいじん(11%)となっています。
〈 年間廃棄物発生量の推移 〉
〈 排出 廃棄物の内訳 〉
※廃棄物の内訳について、海外事業所における分類は
日本国内における分類と異なるため国内事業所分のみ表示しました。
■DOWAグループの事業を通じた埋立処分量削減
事業 | 製品・サービス品目名称 | 2010年度中に達成した主要な内容 |
---|---|---|
製品 製造事業 |
亜鉛加工 |
品鉱さい発生量 30%削減 |
キャリア粉 | 汚泥2009年度比177t削減 | |
環境事業 (国内) |
産業廃棄物中間処理 | 産業廃棄物( 一般廃棄物含む) 175,520t 処理 |
不燃物残渣処理 | 埋立処分の削減 | |
焼却灰等の溶融固化処理 | 焼却灰等のリサイクル | |
溶融メタル販売 | 焼却灰中金属のリサイクル | |
骨材製造販売 | 焼却灰等のリサイクル | |
海外事業所 | 燃え殻のリサイクル | 全体量の約1% |
2010年度のリサイクル量は384千t(国内375千t、海外9千t)で、国内におけるリサイクル量は、前年度に比べ約13%減少しました。これは土壌リサイクル(前年比32%減)の減少が大きく影響したものであり、製品製造事業では石膏(前年比4%増)を中心にリサイクル量が6%増加し、環境事業(国内)では廃家電品関係のリサイクル量が増加しました。
国内事業所におけるリサイクルの内訳としては、マテリアルリサイクルが80%、サーマルリサイクルが20%で、主なマテリアルリサイクル品目は、土壌(48%)、石膏(26%)、金属類(13%)となっています。また、主なサーマルリサイクル品目は、シュレッダーダスト(49%)、廃油(35%)、廃プラスチック類(15%)となっています。
〈 年間リサイクル量の推移 〉
〈 マテリアルリサイクルの内訳 〉
※リサイクルの内訳について、海外事業所における分類は
日本国内における分類と異なるため国内事業所分のみ表示しました。
■2010年度の包装資材削減の取組
- 容器の大型化による個別包装の削減など、梱包方法の工夫による包装材の削減
- 中古フレコンバッグや通い箱の活用など、容器・包装材の再利用の推進
- 容器包装の持ち帰りや納入業者の回収の支援を実施
■DOWAグループの事業を通じた資源循環対応
事業 | 製品・サービス品目名称 | 2010年度中に達成した主要な内容 |
---|---|---|
製品 製造事業 |
レアメタル( インジウム) | リサイクルレアメタル増産 |
レアメタル( ガリウム) | 増産 | |
レアメタル( ビスマス) | 増産 | |
ニッケルスクラップの取り込み | ニッケルスクラップ比率15% | |
環境事業 (国内) |
使用済み廃家電とOA機器の処理 | 回収量増 |
DOWAグループでは、秋田県小坂地区で保有する森林が生物多様性の高い地域となるよう、さまざまな生物が生息する森づくりに取り組んでいます。植生生態学の第一人者 宮脇昭・横浜国立大学名誉教授が所長を務める(財)国際生態学センターの指導の下、2010年度は、地域の方々とともに7,900本の植樹を行いました。
今後、当社では、DOWAグループにおける生物多様性の方針について検討を進めます。
DOWAハイテックでは、植物群や水生生物、微生物などの生息環境を人工的に作り、自然の浄化能力を応用して水質浄化を行う排水処理施設「ビオパレット」を設置しています。1日に約2,500トンの排水処理が可能で、BODなどの有機汚濁物質を除去できます。ビオパレットにはトンボやヤゴ、メダカなど様々な生き物が生息しており、それらを餌にカルガモが子育てをするなど、生態系の多様化が進んでいます。この施設と排水先である備前渠川清掃などの環境保全の取り組みが評価され、平成22年度さいたま環境賞(第12回)を受賞しました。
2010年8月、新たに8kwの太陽光パネルを設置し、施設で使用する電力を賄うことで温暖化対策も進めています。今後は設備を増設し、地域の環境教育と交流の場として活用していきたいと考えています。
各事業所において、薬液寿命向上、回収促進等の施策により、PRTR法対象物質の環境への排出を削減する努力を行っています。
単位:t( ダイオキシン類はg-TEQ)
政令 番号 |
第一種指定化学物質名 | 排出量 | 移動量 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
大気 | 水域 | 土壌 | 自社埋立 | 下水道 | 事業所外 | ||
1 | 亜鉛の水溶性化合物 | − | 5.3 | − | − | − | − |
31 | アンチモン及びその化合物 | 0.018 | 0.39 | − | 110 | − | − |
43 | (改正前番号)エチレングリコール | − | 0.12 | − | − | − | 3.5 |
53 | エチルベンゼン | 0.030 | − | − | − | − | 3.0 |
75 | カドミウム及びその化合物 | 0.02 | 0.09 | − | 110 | − | − |
80 | キシレン | 0.03 | − | − | − | − | 3.2 |
82 | 銀及びその水溶性化合物 | 0.01 | − | − | 5.3 | − | 0.01 |
87 | クロム及び三価クロム化合物 | − | 0.06 | − | 180 | − | 1.8 |
132 | コバルト及びその化合物 | − | − | − | − | − | 2.5 |
144 | 無機シアン化合物(錯塩及びシアン酸塩を除く。) | − | − | − | − | − | 0.01 |
237 | 水銀及びその化合物 | − | − | − | 0.61 | − | − |
242 | セレン及びその化合物 | 0.019 | 0.2 | − | 6.9 | − | − |
243 | ダイオキシン類 | 0.14 | − | − | − | − | 28 |
258 | 1,3,5,7−テトラアザトリシクロ[3.3.1.1(3,7)]デカン | − | 0.08 | − | − | − | 766 |
272 | 銅水溶性塩(錯塩を除く。) | − | 0.95 | − | − | − | 6.4 |
304 | 鉛 | 0.24 | 0.08 | − | 1400 | − | 91 |
308 | ニッケル | − | 0.01 | − | − | − | − |
309 | ニッケル化合物 | − | − | − | − | − | − |
332 | 砒素及びその無機化合物 | 0.02 | 0.07 | − | 870 | − | 3.2 |
333 | ヒドラジン | − | − | − | − | − | 3.0 |
374 | ふっ化水素及びその水溶性塩 | 1.5 | 34 | − | − | − | − |
405 | ほう素化合物 | − | 11 | − | − | − | − |
412 | マンガン及びその化合物 | − | 7.3 | − | − | − | 600 |
■DOWAグループの事業を通じた化学物質排出量削減
事業 | 製品・サービス品目名称 | 2010年度中に達成した主要な内容 |
---|---|---|
製品製造 事業 |
亜鉛線、粉 | 亜鉛線粉廃油原単位 2009年度比4.6%削減 |
伸銅品製造 | 溶解鋳造設備排煙対策強化 | |
カドミレス製品 | 製品中のカドミウムを75ppm以下に抑制] | |
鉛レス製品 | 製品中の鉛を0.1%以下に抑制 | |
フェライト粉製造 | ビスマス使用量削減 |