OUTPUT
総温室効果ガス排出量
2012年度の総温室効果ガス排出量はCO2換算1,490千トン(国内1,465千トン、海外25千トン)で、国内における温室効果ガス排出量は、前年度に比べ9%増加しました。電力排出係数が増加したことが、国内における温室効果ガス排出量に大きく影響しました。
2012年度の主な取り組みは、以下のとおりです。
排出量低減対策
ガスヒートポンプエアコンの導入推進
空調・照明の適正化
コンプレッサ圧力の適正化
設備停止時の待機電力削減
溶媒再生に用いる重油使用量を削減
輸送CO2 対策
秋田地区~西日本間などのモーダルシフト
綿密な連絡による定期便の運転調整・待機時間低減
事業場内レイアウトの工夫によるフォークリフト作業の削減
場内フォークリフトのバイオディーゼル使用
カーボンオフセットの取り組み
カーボンオフセット付き作業服・フォークリフトの使用 (約9トンのCO2 排出削減に貢献)
〈 総温室効果ガス排出量の推移(廃棄物起源は国内のみ) 〉
〈 電力起源+燃料起源 〉
〈 廃棄物起源(国内のみ) 〉
その他の排出量
2012年度のGHGs由来のCO2排出量は、14,300kg-CO2でした。これは、ハイドロフルオロカーボン(HFC-134a:11kg)の使用によるもので、DOWAグループ全体の温室効果ガス排出量の0.001%とわずかな量ですが、地球温暖化防止の観点から今後も適切な管理を行います。
総排水量
2012年度の総排水量は96百万m3(国内96百万m3、海外0.2百万m3)でした。水使用の大部分を占める製錬部門において使用量が前年度より減少した結果、DOWAグループ全体の排水量が前年度比5%減少しました。
〈 年間排水量の推移 〉
大気汚染、水質汚濁の負荷量
DOWAグループの大気および水質の負荷量は、環境・リサイクル事業で受け入れる廃棄物の組成によって大きな影響を受けています。各事業所は、管理体制の強化や国の規制より厳しい自主基準値を定めるなどして、負荷量の抑制に取り組んでいます。
排ガス
2012年度の排ガス排出量は9,576百万m3(国内8,998百万m3、海外578百万m3)で、国内の排ガス排出量は前年度に比べ7%増加しました。
国内の窒素酸化物(NOX)の排出量は、前年度比19%増加しました。硫黄酸化物(SOX)の排出量は前年度比18%増加、ばいじんの排出量は前年度比15%増加しました。窒素酸化物、硫黄酸化物、ばいじんの排出量の前年度比増加については、いずれも操業度の増加によるものです。
〈 排ガス量の推移 〉
〈 物質別大気排出量の推移 〉
水 質
2012年度のBOD(生物化学的酸素要求量)は、小坂製錬で前年度比半減するなどにより、DOWAグループ全体では前年度比31%減少しました。またCOD(化学的酸素要求量)は、DOWAエレクトロニクス岡山で半減した一方、秋田製錬において前年度比67%増加するなどにより、DOWAグループ全体では前年度比28%増加しました。
〈 物質別水域排出量の推移 〉
化学物質の排出量、移動量
DOWAグループでは、化学物質の適正な使用と管理に取り組んでいます。
主な低減対策
工程で使用する薬品の回収、再使用
有害性の高い化学物質を代替もしくは不使用製品の開発
単位:トン(ダイオキシン類はg-TEQ)
政令番号 | 第一種指定化学物質名 | 排出量 | 移動量 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
大気 | 水域 | 土壌 | 自社埋立 | 下水道 | 事業所外 | ||
1 | 亜鉛の水溶性化合物 | - | 4.1 | - | - | - | - |
31 | アンチモンおよびその化合物 | 0.12 | 0.28 | - | 72 | - | - |
44 | インジウムおよびその化合物 | - | - | - | - | - | 6.2 |
53 | エチルベンゼン | 0.03 | - | - | - | - | 2.9 |
72 | 塩化第二鉄 | - | 0.004 | - | - | - | 5.8 |
75 | カドミウムおよびその化合物 | - | 0.08 | - | 68 | - | 6.2 |
80 | キシレン | 0.03 | - | - | - | - | 3.1 |
82 | 銀およびその水溶性化合物 | 0.01 | 0.03 | - | 4.6 | - | - |
87 | クロムおよび三価クロム化合物 | - | 0.06 | - | 130 | - | 1.9 |
132 | コバルトおよびその化合物 | - | - | - | - | - | 2.1 |
144 | 無機シアン化合物 (錯塩およびシアン酸塩を除く) |
- | - | - | - | - | 0.003 |
242 | セレンおよびその化合物 | 0.01 | 0.2 | - | 5.8 | - | - |
243 | ダイオキシン類 | 0.13 | - | - | - | - | 34 |
258 | 1,3,5,7-テトラアザトリシクロ |
- | - | - | - | - | 1,005 |
272 | 銅水溶性塩(錯塩を除く) | - | 1.1 | - | - | - | 5.0 |
304 | 鉛 | 0.23 | 0.06 | - | 1,300 | - | 44 |
305 | 鉛化合物 | - | - | - | - | - | 1,533 |
308 | ニッケル | - | 0.01 | 68 | - | - | - |
309 | ニッケル化合物 | - | 1.2 | - | - | - | 0.42 |
332 | 砒素およびその無機化合物 | 0.21 | 0.06 | - | 580 | - | 4.4 |
333 | ヒドラジン | - | - | - | - | - | 2.4 |
374 | ふっ化水素およびその水溶性塩 | 0.16 | 35 | - | - | - | 0.83 |
405 | ほう素化合物 | - | 10 | 6.0 | - | - | 1.3 |
411 | ホルムアルデヒド | - | 0.30 | - | - | - | - |
412 | マンガンおよびその化合物 | - | 6.0 | - | - | - | 690 |
438 | メチルナフタレン | 0.02 | - | - | - | - | - |
廃棄物・リサイクル発生量、排出量
2012年度の廃棄物・リサイクル発生量は1,245千トン(国内1,030千トン、海外215千トン)で、廃棄物量は549千トン、リサイクル量は696千トン、このうち有価物としてリサイクルした量は76千トンでした。国内における廃棄物・リサイクル発生量は、前年度に比べ3%減少しました。これは主に、土壌処理量の減少によるものです。
DOWAグループ内外で処理を行った廃棄物とグループ外のリサイクルを合計した排出量は727千トン(国内520千トン、海外207千トン)で、このうちグループ外のリサイクル量は179千トンでした。国内における廃棄物・リサイクル排出量は、前年度に比べ2%増加しました。なお、2012年度の建設リサイクル法対象の廃棄物等の発生はありませんでした。
主な廃棄物・リサイクル対策
廃酸・廃油の有価物への転換
マグネット付き重機の使用により、受入ダストからの鉄回収増加
残渣に消石灰を混練することにより、リサイクル時のハンドリング性を向上
2012年度の包装資材削減の取組
容器の大型化による個別包装の削減など、梱包方法の工夫による包装材の削減
中古フレコンバッグや通い箱の活用など、容器・包装材の再利用の推進
容器包装の持ち帰りや納入業者の回収の支援を実施
〈 廃棄物発生量の推移 〉
〈 排出廃棄物の内訳 〉
【廃棄物の外部委託に関して】
2012年5月、当社の子会社であるDOWAハイテック株式会社が産業廃棄物処理会社に処分を委託した廃液が、適切に処理されないまま利根川水系に放流されたと推定される件について、周辺地域をはじめ関係する多くの方々にご心配をおかけいたしました。
当社は本件判明後速やかに対策チームを立ち上げ、廃棄物の処理についてグループ全社で総点検を実施し、現在まで管理体制のより一層の充実・強化に取り組んでいます。
また、埼玉県環境部の調査結果においても、廃棄物処理法における委託基準違反には該当しないとされており、当社はDOWAハイテックが今回の件に関して法律に則った手続および手順を踏んでいたことを確認しています。
生物多様性の保全
秋田県小坂町は、鉱山・製錬業で国や地域の発展に大きく貢献した一方で、鉱山開発による山林伐採や製錬で発生した亜硫酸ガスなどの煙害で、広い範囲の森林が失われました。同地では明治時代から植林が始められ、1950年代にはニセアカシアを中心に300万本の植樹が行われ、緑化が大きく進むこととなりました。
DOWAグループは、2006年に「自然との共生」を誓い、植生生態学の第一人者である宮脇 昭先生(横浜国立大学名誉教授)の指導により、鉱山跡地やカラミ山(銅などの製錬工程での残滓)などで、「ふるさとの木によるふるさとの森づくり」の手法での植樹を開始しました。これは生態学的な現地調査を基に、土地本来の多くの樹種の幼苗を、面積当たりの密度を上げて植える方法で、自然淘汰を通して土地本来の多様な機能を果たす多層群落の森を形成します。
毎年地元の方々と協力しながら現在まで、ナラ、カエデ、ブナなどの土地本来の樹種約12万本の植樹を行い、生育の経過観察や調査を続けています。
自然のメカニズムを活用した管理手法により、スギの人工林を多様な生物が生息できる森にすることを目的として、埋土種子の発芽や生育条件などを調査する植生管理試験を行いました。DOWAグループでは、小坂地区が生物多様性の高い地域となるよう、さまざまな生物が生息する森づくりに取り組んでいきます。