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ごあいさつ―DOWAの社会的責任とは―

自然と共生する循環型事業を目指します。アジアのDOWAとして社会的責任を果たして行きたい。

新たな改革への挑戦―未曾有の不況を凌ぎ、真のエクセレント・カンパニーへ―

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吉川

昨年度は、世界中が未曾有の経済不況に陥り、私たちDOWAグループも自動車やIT・半導体など関わりの深い産業分野の需要急減を受けて、減産・減販を余儀なくされました。加えて金属価格の大幅下落による影響も避けられず、経営成績は近年にない極めて厳しい結果となりました。今年度も需要回復には当分時間がかかると見込まれており、かつてない経営環境が続くことを覚悟しなければなりませんが、低操業下でも利益の出せる体制へ向けた構造改革を着実に推進する一方で、世界的な不況下こそ絶好のチャンスと捉えて、将来に向けた成長戦略をスピーディーに打っていかなければいけません。


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山田

今年度は、成長に向けた設備投資は環境・リサイ クル事業へ、研究開発は電子材料事業へ、それぞれ絞り込んで集中的に注力していきます。前者はこれまで同様、国内外における事業拡大を継続しますが、海外、特にアジア地域における環境・リサイクル事業のNo.1を目指して、事業規模・メニューおよび地域の拡充を重点的に図ります。後者は、ナノ粉・深紫外LED・触媒など、新規テーマの早期事業化に注力します。こうした新たな投資に加えて、過去数年間に集中して実施した大型投資の回収を急ぎます。そして、需要の回復 を待たずして、いち早く安定的に利益を出せる体質を実現させます。


吉川

この経済危機を勝ち抜く企業体質の実現と同時に、昨年度を「元年」と位置付けたCSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)活動も、一段と強化していきましょう。真のエクセレント・カンパニーとなるためには、社会が求める水準より常に一歩先んじたCSR活動の展開が不可欠です。既に具体的な活動が各地で展開されていますが、今年度のCSR 報告書を発刊するにあたり、 改めて「DOWAのCSR」を考えてみましょう。

DOWAのCSRとは―本業を通じた社会貢献の体現―

吉川

私たちDOWAグループは、1884年(明治17年)の創業以来125年間、非鉄金属業界の一員として素材の安定供給に努め、日本の「ものづくり」を支え続けてきました。伝統的な鉱山・製錬業に加え、今日では電子材料・金属加工・ 熱処理など、素材の加工・付加価値向上といった機能も担っています。

山田

そうした素材供給、いわば「川上」分野に加えて、近年は環境・リサイクル、いわゆる「川下」分野のウェイトが高まってきました。この分野においても、従来は有害物質の無害化処理、環境リスクの適正管理が主体でしたが、最近数年は金属資源のリサイクル、すなわち社会において一旦役割を終えた使用済み製品などの廃棄物を、再び有用物として社会に送り出す、という機能を一段と強化しつつあります。

吉川

影響を肌で実感できる地球温暖化と異なり、金属資源の有限性は残念ながら一般にあまり認知されていませんが、近い将来、世界共通の差し迫った課題として確実に議論が巻き起こるはずです。社会が声高に金属資源のリサイクルを求め始める前に、そして事態が手遅れに陥る前に、私たちDOWAグループは、金属資源の循環を推進していかなければなりません。

山田

社会の要求に先んじて資源循環を推進すると同時に、国内外へ幅広く呼びかけて、国・自治体・企業・市民など、あらゆる主体の賛同者を募り、地球温暖化対策のような大きな「うねり」を起こしていきたいですね。

吉川

そうですね。私たちDOWAグループの環境・リサイクル、製錬、電子材料、金属加工、熱処理という5つの循環型事業の一層の成長・発展には、ステークホルダーの理解と支援が不可欠です。言い換えれば、循環型事業という「本業」を拡大させることこそ、DOWAの果たすべき社会貢献、すなわち社会的責任です。

環境立国・日本の一翼を担うDOWA―3R推進、地球温暖化抑制、そして生物多様性保全―

吉川

ここで、DOWAのCSRを、国の政策と照らし合わせて考えてみましょう。一昨年6月に閣議決定された「21世紀環境立国戦略」では、持続可能な社会の3つの側面、すなわち「循環型社会」「低炭素社会」「自然共生社会」を統合した取り組みの展開を打ち出しています。それぞれ具体的には、循環型=3Rの推進、低炭素=地球温暖化の抑制、自然共生=生物多様性の保全です。現在は、明らかに温暖化対策が先行していますが、3R推進と生物多様性保全にも遅れることなく取り組まなければなりません。

山田

3R推進は、DOWAグループの循環型事業の拡大そのものです。そして、温暖化対策も企業経営にとって大変重要な課題だと考えています。DOWAにとっても、成長しながら二酸化炭素の排出を減らすのは容易ではありませんが、省エネ、工程の見直しなどを強化しています。また自社の排出量削減に取り組む一方で、地球環境保全に貢献する事業として、従来から展開しているフロンガス破壊に加え、昨年度から本格的に着手したCDM事業、そして今年度にまず岡山で操業を開始したBDF事業(詳細)など、今後ますます注力していく計画です。生物多様性の保全は、DOWAの事業との結びつきがイメージしにくいですが、製錬の原料を鉱石からリサイクル原料へシフトすることが、世界中の鉱山開発に伴う生態系破壊の回避に少なからず寄与しています。これに関連して、秋田・小坂町でかつて鉱山開発で失ってしまった豊かな森を取り戻すべく、4年前から「ふるさとの森づくり」を地域の方々と一体となって推進しています。多様な生物が息づく森林を再び育み、自然と共生する循環型事業を目指します。

写真ビオパレット

吉川

埼玉・本庄地区でも、 「ビオパレット」という自然の浄化 能力を最大限活用した排水処理 施設を開発しました。様々な生物 の生息と水質浄化機能が一体と なった、まさに自然共生型の環境 技術として、国内外のDOWA グループ各拠点に順次展開し ていく予定です。3R 推進、地球温暖化抑制、生物多様性保 全という「三位一体」である日本の環境立国戦略を、私たち DOWA グループはまさに社会的責任として、いずれも欠くこ となく担っていかなければいけませんね。


グローバル展開の加速化―アジアのDOWA を目指して―

吉川

今や、DOWAの事業エリアは日本国内にとどまらず、海外、特にアジア地域への展開が着々と進んでいます。私たちDOWAグループのCSR活動も、当然ながらグローバルな視点で推進していかなければなりません。

写真MAEH-BPEC社

山田

昨年度新たにDOWAグループに加わった東南アジアの廃棄物処理会社・MAEH社は、以前から環境事業を展開する企業として地域社会との共生を重要視し、拠点を有するタイ・インドネシア・シンガポールで様々な地域貢献活動を展開しています。こうした地道な活動に加えて、今後は私たちDOWAグループの一員として、従来の廃棄物処理事業に加え金属リサイクル事業・CDM事業など新規事業の展開で、東南アジア地域の3R推進や温暖化対策などに一層力強く貢献することが可能となります。まさに、東南アジアにおけるDOWAのCSRの担い手と言えます。

吉川

中国・蘇州で金属リサイクル事業を手がけている蘇州同和も、新たに家電リサイクル事業に着手し、中国における資源循環の促進にさらに寄与することが期待できます。高精度のリサイクルと高度な適正処理を両立させた蘇州モデルの工場を、他の地域でも展開して、巨大市場・中国にDOWAブランドを是非とも根付かせたいですね。

山田

経済成長真っ只中の東南アジアや中国は、今後ますます環境・リサイクル事業分野の需要が大きくなる一方です。私たちDOWAグループは、「環境・リサイクル事業でアジアNo.1」というビジョンを実現すべく、今後も東南アジアや中国における事業の一層の拡大を図ると共に、これらの地域の環境改善を社会的使命として、積極的に貢献していきます。

吉川

アジアにおける事業拡大を語り始めると、本当に夢が尽きませんね。DOWAもいよいよ、グローバル企業への本格的な一歩を踏み出した、と言えるでしょう。

山田

海外進出先では、国や地域ごとに異なる固有の価値観を尊重し、地域社会との信頼を築きながら、今まで以上に幅広い社会的責任を果たしていかねばなりません。当社が今後も真のグローバル企業として成長し続けるためには、その礎となる企業基盤は、国際的に認知されたグローバル・スタンダードを充たしたものである必要があります。そこで今年3月、国連のグローバル・コンパクトに参加しました。これを機に、DOWAはグローバル経営への新たな発展段階へと移行し、社会的責任を一層真摯に捉え、取り組みをさらに強化・発展させていきます。

吉川

この世界同時不況に打ち勝ち、真のエクセレント・カンパニーを目指すためにも、まずはこの「CSR報告書」をステークホルダーの皆さまにお読みいただき、私たちDOWAグループの取り組みにご理解とご賛同を得ながら、「アジアのDOWA」として社会的責任を果たしていきたいと考えています。

グローバル・コンパクトについて

「グローバル・コンパクト」(GC)とは、1999年に国連のアナン事務総長(当時)が提唱し、2000年に国連本部にて正式に創設された、人権、労働、環境、腐敗防止に関する10原則からなる企業による自主行動原則です。各企業が責任ある創造的なリーダーシップを発揮することによって、社会の良き一員として行動し、持続可能な成長を実現するための世界的な枠組み作りに参加する自発的な取り組みです。DOWAグループでは、価値観と行動規範ならびに行動ガイドラインに加え、GC10原則を尊重し確実に実践していくことで、社会の持続的発展に向けて活動していきます。

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