労働安全衛生は、DOWAが事業を展開する上での最も重要なテーマの一つです。「安全はすべてに優先する」との基本理念に基づき、国内外の全事業所においてCSR経営計画を策定し、年間計画に基づいた安全活動を展開しています。
現場の安全は経営層・管理層の強い意志と正しい従業員教育が支えます。DOWAグループでは、オペレータ層への安全教育を充実させるために、職場の安全講師の育成に力を入れています。
また当社には、重大事故が発生した事業所、労働災害頻度の高い事業所をそれぞれ「指定事業所」、「準指定事業所」として指定し、改善を強く支援する独自の制度があります。ホールディングスと全事業会社の安全担当者で構成される安全環境担当者会議は、指定事業所、準指定事業所に対して安全体制の改善を支援・指導しています。必要に応じて外部コンサルタントによる客観的な視点を取り入れつつ安全監査や安全衛生診断を実施し、議論し、自社の課題に取り組むことで安全レベルの向上を目指しています。
事故・災害発生件数が多い事業所への取り組み | |
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指定事業所 |
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準指定事業所 |
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災害訪問 |
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新規設備建設において導入時の検討が不足していると、設備安全のみならず製造能力の実現さえままならないことになりかねません。安全に関しては例えば、安全装置に不備がある、無理な作業を強いられる、人の失敗をカバーしきれないなどの不具合は、設備導入時点で解消されていなければなりません。
そこで、設備の安全と製造能力の達成を念頭に、DOWAテクノロジーで生産技術標準化ワーキンググループを立ち上げ、建設工事の構想検討、基本設計、詳細設計の各段階における標準ルールである設備調達マニュアル(DTMS:DOWA Technical Manufacturing Standard)を策定しました。
標準ルールは、業務フローや技術標準、リスクアセスメントなどの検討項目、各段階でのチェックシートなどで構成されます。設備計画から導入・立ち上げにおける基準マニュアルとして、2019年度から一部の建設工事において運用を開始しました。
今後はさらに運用範囲を拡げ設備投資における完成精度を高め、安全と性能をより確かなものへと向上させていきます。
設備調達マニュアル(抄出)
検討開始後から軌道にのるまで大変な道のりでしたが、重大災害が続いており安全機能の見直しが急務でしたので、全国の技術者と協力して進めてまいりました。設備安全性の向上と抜け・漏れ・リスク低減に繋がる技術標準として有用なものになるよう改善を重ねていきます。
また、検討内容の蓄積と活用、リスクに対する意識の向上や部門間コミュニケーション活性化などの副次効果もあり、技術力向上にも期待できます。
今後は、デザインレビュー(DR)手法の標準化による検討内容の充実化・効率化、事業ごとの設備の違いに対する個別対応とマニュアルの充足度向上などを図っていきます。