労働安全衛生は、DOWAが事業を展開する上での最も重要なテーマの一つです。「安全はすべてに優先する」との基本理念に基づき、国内外の全事業所においてCSR経営計画を策定し、年間計画に基づいた安全活動を展開しています。
安全分野における2018年度の活動状況と、2019年度の計画は以下の通りです。
安全重点施策 | 課題 | 指標 | 評価 | 主な実績 |
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全社安全レベルの底上げ | 地区単位横断取組の強化 | 度数率※1.5以下 | × | 2.79 |
強度率0.02以下 | × | 0.06 | ||
海外子会社安全教育の強化 | メンテナンス教育の強化 | 補修時における災害発生率の半減 | △ | ▲14%減 |
全社安全レベルの底上げ | 客観的な視点を含めた安全監査・安全衛生診断 | 度数率※1.5以下 | |
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強度率0.02以下 | |||
海外子会社安全教育の強化 | メンテナンス教育の強化 | 補修時における災害発生率の半減 |
※本報告より度数率算出方法を厚生労働省定義に改めています
DOWAグループの環境・安全管理活動は、持株会社であるDOWAホールディングスの環境・安全部門と、環境保全活動を行う各事業会社で選任された安全環境担当者が連携して行っています。ホールディングスは各事業会社間の調整・取りまとめを行うとともに、グループ全体の安全推進活動を実施しています。
安全環境担当者会議は毎月本社で開催され、全社安全活動の推進についての討議や、各社の活動内容の共有、相互支援を行う場となっています。また、事故や災害が発生した場合には、状況の把握や原因・対策について協議等を実施します。会議で決定した内容や対策などの事項は、担当者から各事業子会社へ展開し、迅速な情報共有を図る仕組みを構築しています。
各地区の活動メンバーが活動事例やアイデアを共有し、互いに相談できる体制で交流の場として設けています。今後はこれらのネットワークをさらに発展させ、運動の推進に寄与させていきます。
DOWAグループは、CSR方針(「安全はすべてに優先する」との基本理念に立ち、全従業員が自主的に活動に取り組み、安全衛生水準の向上を目指す)のもと、年間安全衛生計画に基づいてさまざまな安全活動を展開しています。
グループ全体の災害件数は長期的に見ると減少傾向にありましたが、2018年度は増加しました。厚生労働省災害統計における同規模の事業所での数値と比較すると、度数率は1.88に対して2.79ですが、強度率については0.15に対し0.06となり、昨年に比べ改善しています。
2018年度の災害における類型別の発生状況については、「挟まれ・巻き込まれ」、「切れ・こすれ」が多く、全体の半分近くを占めています。また、経験年数が5年未満の罹災者が多いことが特徴です。これらの労働災害の原因は「安全管理体制」と「各人の感受性・行動」の両面にあるため、再発防止に向け、これらに同時に取り組む対策を進めています。
※従業員が100~299人(当社の各事業所における平均従業員数)の2018年度の災害統計確定値と比較
度数率 | 100万のべ労働時間当たりの労働災害による死傷者数をもって、労働災害の頻度を表します |
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強度率 | 1,000のべ労働時間当たりの労働損失日数をもって、災害の重さの程度を表します |
全ての従業員が労働安全を自分事として捉えて自主的に活動に取り組めるよう、危険体感訓練やワークショップ形式の研修を通じて、安全意識の向上に努めています。
2018年度より、新入社員および第一線監督者研修の受講者を対象として、安全に関する意識調査「安全力チェック」を開始しました。調査では、安全力が必要とする「遵法精神・安全遵守」と「危険予知力・危険回避力」について、社会的側面と性格的側面の2方向から評価します。調査結果については、ワークショップや1対1での指導演習等に活用することで、単なる評価に終わらせず、そこにどのような傾向があるかを自己認識する機会としました。今後の個人の行動変化によって、より安全な行動がとれるようになることと、安全コミュニケーションを通じた職場全体の安全意識向上につながることを期待しています。
グループ各社の優れた取り組みの共有と担当者の人的ネットワークの形成を通じた各社安全の取り組みレベルの向上を目的としたリスクアセスメント発表会を毎年6月に開催しています。8回目の今回は、事前審査で選ばれた国内7社に加え、海外の安全大会で優秀な成績を収めたDOWAサーモテックタイランドによる安全活動の取り組み「Contractor control for safety activity」が発表されました。日本国内・海外から約70名が出席し、各社それぞれの取り組みについて、活発な意見や質疑が交わされました。
2018年12月、岡山地区の事業所を会場とし、第26回安全環境コンプライアンスセミナーを開催しました。安全や環境に関する企業のコンプライアンスについて、工場の事業活動に視点を置き、各自が意見を出し合うワークショップ形式で実施しました。研修では実際の工場巡視で見つけた課題を取り入れるなど、現場にとってより実践的な内容となっています。
健康保険組合を通じ、従業員やその家族の健康管理・増進に向け、健康診断受診やメンタルヘルス対策の推進、スポーツ行事の支援など、さまざまな取り組みを展開しています。
一人ひとりが健康への意識を高め、心身の健康を維持できるよう、毎年の定期健康診断の確実な全員受診に部門や事業所単位で取り組んでいるほか、人間ドックや婦人科健診、インフルエンザ予防接種などの各種助成制度も充実させています。また、40歳以上の被保険者および被扶養者を対象とした特定健診(特定健康診査)の受診率向上に向け、グループ報による情報提供などを実施し、受診率は少しずつ増加傾向にあります。
さらに、スポーツや運動を通じて健康なからだを維持・増進していくよう、従業員のスポーツ行事への補助金交付制度を設け、健康づくりを支援しています。
従業員の心の健康管理のため、メンタルヘルス・カウンセリング制度を運用し、専門カウンセラー(臨床心理士)による電話相談を受けられる専用ダイヤルを設置しています。誰もが安心して相談できるよう窓口は社外におき、厳重なプライバシー管理を行っています。さらに2013年度からは、自身のストレスへの気づきを促し、ストレスの原因となる職場環境の改善につなげるため、メンタルヘルスを自己診断できるストレスチェック・ツールを導入し、従業員のメンタルヘルス不調の未然防止に取り組んでいます。
長時間労働の改善に取り組むため、パソコンのログイン・ログアウトによる労働時間管理を進めています。さらに、1ヵ月に80時間以上の時間外労働をした従業員に上司の面談と医師による指導を実施するなど、労働による健康障がいの防止に取り組んでいます。