DOWAエレクトロニクスは、鉱山・製錬事業で回収した多様な副産金属に、微粉体化や高純度化などのさまざまな加工を行い、新たな用途を開拓する取り組みから始まりました。現在では最先端の電子機器向けに開発を進め、高機能化・高性能化に求められる特徴ある半導体材料・導電材料・磁性材料を提供し、その多くにおいて世界的に高いシェアを占めています。
事業分野
半導体事業 | 電子材料事業 | 機能材料事業 |
主な商品とサービス
高純度ガリウム、インジウム、化合物半導体ウェハ、LED、銀粉、銅粉、酸化銀、メタル粉、キャリア粉、フェライト粉など
〈DOWAエレクトロニクス主要工場の紹介〉
ボンド用フェライト粉で世界トップの磁気特性
自動車や電気製品に欠かせない磁性材料フェライト。
長い歴史の中で培った高度な技術を展開して、世界をしっかりとリードしています。製品の高機能化や新規用途開発のニーズに世界トップのボンド用フェライト技術で応えます。
所在地/岡山県久米郡美咲町吉ヶ原1045
従業員/ 36人(2014.3末)
独自技術で自動車の環境性能に貢献
DOWAエフテックのフェライトは、樹脂と混合し配向させて使用する「ボンド磁石用ハードフェライト粉」で、プリンターや複写機のマグネットロール、自動車や家電のモータやセンサーの磁石として広く用いられています。汎用品である焼結磁石に比べ、①寸法精度が高い②形状自由度が高い③割れ、欠けしにくいなどの特徴があります。この特徴を活かし、ハイブリッド車に代表されるエコカーのエンジン冷却などに使用されている、電動ウォーターポンプで採用されました。一体成形することで部品数やボリュームを減らし、ポンプの小型化と静音化を実現。部品の小型化は燃費改善やCO2削減につながります。自動車には高い環境性能や快適性能が要求されており、モータやセンサーが数多く搭載されています。今後も当社のフェライト技術を通じて、環境・快適性能の発展に貢献します。
自社開発の熱回収設備で省エネに挑戦
フェライト粉は、酸化鉄とアルカリ土類金属を加熱反応させることで製造します。その工程では多くの化石燃料を必要とするため、省エネルギーやCO2の削減は大きな課題でした。そこで従来であれば捨てていた熱を無駄なく利用する熱回収設備を自社開発することで、省エネと環境負荷削減に挑みました。
開発当初はさまざまな課題がありましたが、試作と改良を繰り返し、2013年夏から本格運用を開始。原料を高熱で処理する焼結炉の排熱(外気熱)を回収し、別工程で必要な燃焼エアーを予熱することで加熱用燃料の消費を抑え、同時に排水から回収する澱物の乾燥に活用することで廃棄物を削減します。社内の創意・工夫と製造技術の組み合わせにより、省エネとCO2の削減を実現しました。
部長 三島 泰信
当社で開発・製造しているフェライト粉は、樹脂と混合使用する用途に特化させています。粒度分布および粒子形状制御技術による高い流動性を持つフェライト粉を開発することで、高充填・高配向(結晶面の向きを揃えることで磁力向上)を可能にし、約20%の磁気特性向上を実現しました。今までフェライト焼結磁石や希土類磁石しか使用できなかった分野へ採用され始めています。今後もさらに改良を加え、フェライト粉の可能性を広げていきます。
部長 片山 英紀
フェライト粉製造には、反応させるために多くの熱、粉砕に多くの電気を使用しており、このエネルギーをどれだけ有効活用するかで、コストだけではなく環境への負荷も変わります。昨年実施した熱回収に続き、今年もさらなる省エネを実現し、加えてより厳しい顧客要望に対応できる品質管理システムのレベルアップを達成します。コスト・品質で世界をリードする製品づくりと環境負荷を低減することで、社会に貢献できる会社であり続けたいと考えています。
リスクアセスメントの取り組み
DOWAエフテックでは、社員の安全を守るため、災害につながる不安全設備、不安全作業を抽出し改善するリスクアセスメントの手法を用いて、職場の改善に取り組んでいます。2013年6月、DOWAグループのリスクアセスメント発表会において、応募総数69件の中から当社の「バケットコンベアから脱鉱したペレットを回収・戻し作業時の挟まれ・巻き込まれ防止対策」が優秀賞に選ばれました。これからも事故・災害ゼロの安全な職場を目指し、さらなる改善に取り組んでいきます。