DOWA CSR報告書2014

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CSR REPORT 2014

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第三者意見

DOWA CSR報告書2014

本木 啓生(もとき ひろお)

株式会社イースクエア
代表取締役社長
本木 啓生(もとき ひろお)

イースクエアは、企業の戦略的CSR・環境経営の支援を通して持続可能な社会の実現を目指すコンサルティング会社。2001年4月よりイースクエアのコンサルティング事業の統括として、多岐の業種にわたる大手企業を中心に、戦略、コミュニケーション、教育、BOPなどの各分野における支援を行っている。2011年10月代表取締役社長に就任。2005年より東北大学大学院環境科学研究科非常勤講師を務め、その他CSR関連の講演活動も多数行っている。

CSR報告書2014 報告内容について

山田社長が巻頭言において、DOWAグループの事業は事業環境の劇的な変化に合わせ、「5つのコアビジネスからなる独自の循環型事業」へと変化を遂げていることを伝えています。そのことを証明するかのようにDOWAグループは増収・増益を継続しており、世界人口の増加に伴い資源枯渇が叫ばれる中、循環型社会の形成に向けた多様なニーズに事業を通じて的確に応えられていることが推測できます。

今年のCSR報告書の特徴は、DOWAグループが考える社会課題に関して、「DOWAの事業と社会課題」というページにおいて、資源の有効利用に関する社会課題とそれに対するDOWAグループの事業を通してのアプローチをまとめたことでしょう。昨年は特集の一つという位置付けでしたが、今年度は1 ページを割いて説明していることで、社会の課題解決に貢献しつつ、自社の利益にも結び付けていくというシェアードバリュー(CSV)の発想を重視していることが読み取れます。さらに具体的に社会課題と事業の結び付きが説明できると、DOWAグループの社会における必要性や必然性がより深く理解できると思います。

またもう一つの特徴は、2013年度の活動実績および報告書全体の構成をCSR方針の4分野の切り口で再整理したことでしょう。このことによりDOWAグループが推進するCSRが一貫性をもって示されることとなり、シンプルで分かりやすい構成となりました。

各テーマの取り組みでは、鉱山活動など社会のバリューチェーンの上流に位置する企業として、紛争鉱物への対応は必要不可欠なものとなっています。「DOWAグループ紛争鉱物管理方針」を定めたこと、「紛争フリー製錬」として認定するプログラム(CSF認証制度)に取り組んでいることは、持続可能な事業を営む上で極めて重要な一歩となります。

各事業においてもさまざまな取り組みが行われており、DOWAメタルマインが原料を枯渇性の鉱石からリサイクル原料に転換するという世界初となる大転換を成し遂げたことは、特に目を引きます。

さらなる改善に向けて

活動実績の一覧は、目標と施策と実績の欄が切り分けられ、昨年より格段に分かりやすいものになっています。しかし現状は、目標としては項目のみの表記となっているので、到達点を掲げた具体的な目標になるとよいと思います。

CSR方針の重点施策として、「CSR調達ガイドライン」を今後策定するとのことになっている一方、新たに改訂された「CSR調達方針」の中では、「CSR調達ガイドラインに基づく調達を推進します」と書かれており、既に存在するかのように見え、いささか矛盾を感じます。またCSR調達方針の中で、「DOWAグループ紛争鉱物管理方針」についても触れると良いのではないでしょうか。今後、CSR調達方針を具体的にどのように展開していくのかという点についての報告もあることが望ましいと考えます。

今後の取り組みへの期待

2014年度はCSR中期目標の設定と重点施策の見直しを行うということで、今後の展開を楽しみにしています。各社の実務責任者や担当者によるメッセージなどからも社会の課題に向き合う姿勢と、自社の収益に結び付ける意識がうかがえます。このような思いを持った現場の方たちに支えられることがDOWAグループの現在の強さにつながっているのでしょう。今後も社会課題に真っ向から向き合い、事業の発展に結び付けていくことに期待しています。

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