社会とのかかわり
DOWAグループは、様々なステークホルダーとの関わりを念頭に置いて事業活動を展開しています。
社会と企業との持続的発展を目指した、取り組みをご紹介します。
Feature 地域と そして子供たちと ともに成長する DOWA杯ジュニア・クロスカントリースキー十和田湖大会
DOWAグループは、秋田県の十和田湖畔で開催されるジュニアクラスのクロスカントリースキー大会を主催しています。
地域との連携で第20回大会を開催
DOWA杯は、DOWAグループの社員と地元スキークラブのメンバーを中心に、行政、教育機関、その他多くの地域の皆様のサポートを受けて開催しています。過去にこのDOWA杯で活躍した参加者が、バンクーバー五輪のノルディック競技に日本代表として出場するなど、小・中学校のスキー大会としては日本最大級の大会です。
今年は、北東北3県から集まった小・中学生526名が参加し、記念すべき第20回大会を迎えることができました。競技は2日間にわたり、スプリント(短距離)とクロスカントリー、20回大会記念競技の学校対抗リレー、そして障がい者を対象としたシットスキーを行いました。リレーでは41チームものエントリーがあり、白銀の上で熱戦を繰り広げました。
大会初日の夜には恒例のウエルカムパーティーを開催し、参加選手や保護者の方々、地域の皆様と交流する場を設けています。また、最優秀選手には、北海道旭川で開催される第30回バーサーロペットジャパンへの参加招待が賞品として授与されました。
この大会は、青少年の育成と地域のコミュニケーションの活性化のために、DOWAグループが少しでもお役に立てればという思いから始めました。今後も選手の熱意と地域の皆様のご協力のもと、地域に根ざしたスポーツ活動として取り組んでいきたいと考えています。
シットスキーについて
パラリンピックなどで少しずつ知られるようになったシットスキーですが、ジュニアクラスでの競技の開催は、まだあまり例がありません。
DOWA杯のシットスキー競技は、地域の子供たちがハンディのある、なしに拘わらず、みんなで参加し楽しめることはないかを考えるごく自然の流れからスタートし、今年4年目を迎えることができました。
○シットスキーってこんな競技
冬季パラリンピックの正式競技であるシットスキーは、車椅子を必要とする障がい者のためのスキーとして考案され、2本のスキー板の上に座るための装置を取り付けたもので、ストックを使って滑走します。競技には、ノルディックのクロスカントリーとバイアスロンの種目があり、DOWA杯では100mスプリントレースを行っています。
Voice
■ DMS小坂 亀田 賢史
●一緒に出来る競技
DOWA杯を運営していく中で、障がいを持つ子供も何かみんなと一緒に出来る競技がないか検討して、シットスキーというスポーツにめぐり合いました。千葉県の車椅子メーカーでスキー用具を製造していることがわかり、子供たちの体に合わせたシットスキーを製作してもらいました。手探りではじめた初年度の参加者は4人でしたが、4年目を迎える今年は16人の子供たちが参加し、年齢別に3レースを行うまでになりました。
●共に成長する場として
シットスキー競技では、参加選手にそれぞれ専任スタッフをつけ、会場への来場時から帰宅時までサポートする体制を敷いているのですが、障がいの種類もその度合いも、一人ひとり違う子供たちと接する機会は、社員にとっても貴重な体験となっています。ゴールの瞬間は、嬉しくて思わず涙が出るほどです。これからも、いろいろな立場で参加・協力する「支えあい」を通して、共に成長する場になればと願っています。
●シットスキーをきっかけに
今は台数が増えたので、養護学校への貸し出しや練習会なども開催しています。競技として人前に出るのが難しくても、日常の楽しみとしてスキーを楽しんでもらえれば嬉しいです。シットスキーを通して、冬に外に出る、スポーツを楽しむなどの経験が、何かのきっかけになればと思っています。また、レースには順位や記録があるため、人と競い合う機会や勝つために努力することなど、競技スポーツとしての良さもあります。過去の参加者の一人が、今はアルペンスキーにも挑戦しています。今後も出場者が増えていって欲しいですね。
これまでの4年間、シットスキー競技に参加してくれた選手の声を聞きました。
Player’s voice
■ 木村 駿汰くん(中学3年生)
駿汰くんは、2009年夏に秋田県で行われた障害者スポーツ大会に参加し、車椅子スプリント(陸上)の100m・200mレースで優勝しました
最初に参加した年(4年前)は不安だったけれど、今はだいぶ滑れるようになりました。シットスキーをやって良かったことは、肩の筋肉がついたこと。高校に入学したらアーチェリーをやってみたいと思います。
■ 江野 麻由子さん(小学6年生)
麻由子さんは今年の優勝者で、過去には北海道の大会でも優秀な成績を収めています
シットスキーをやってよかったことは、体育のスキー授業に同級生と同じように参加できることです。中学に入学したら卓球をやってみたいと思っています。
第18回大会より、パラリンピック銀メダリストの野沢英二氏に特別ゲストとして参加いただき、競技前後の指導やウエルカムパーティーでの子供たちへの講話をお願いしています。
Voice
■ 野沢英二氏(元長野パラリンピック日本代表選手)
私は、シットスキーが障がいを持つ子供が何かを始める、また乗り越える自信を持つきっかけになってほしいと思っています。車椅子のため、外に出ないようにしている子供もいますが、スポーツはそういう子に喜びと自信を与えます。
もちろん競技スポーツだけでなく、昨日より100m遠いところに一人で車椅子を動かすだけでも変わってきます。日常の動作の中にも運動に通じるものはあるし、スポーツは生活の延長にあって、さらに喜びになると考えています。
自分自身も30歳のとき、事故により障がいを持ちましたが、そこから努力してパラリンピックの代表選手として銀メダルをとりました。ガンもくも膜下出血も経験しましたが、克服して今があります。夢はかないます。そのための努力が出来るかどうかだけです。
子供たちにはぜひ実行して欲しいと思います。
スポーツには、年齢、性別、ハンディなどを超えて人々を一つにする特別な力があります。DOWAのCSRは一方的な支援という形ではなく、選手や地域の人々と、ともに成長し、ともに楽しみ、経験を分かち合うことを目的に続けています。地域に根ざしたスキー大会を継続していくことで、企業としてのCSRをさらに積極的に果たしていきます。