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特集II DOWAのリサイクルコンビナート

私たちの便利で快適な暮らしを支える様々な電子機器。これらの機器には、銅や金、レアメタルなど、様々な金属が使用されています。限りある資源を有効に活用し、持続可能な社会を進めていくためにも、廃棄された電子機器から有用な金属を回収し、再び資源として新たな機器に利用していくことがとても重要です。小坂製錬をはじめとするDOWAメタルマインは、これまで培ってきた製錬技術を応用し、主力原料を鉱石だけでなく、製錬所残渣やスクラップ原料、電子基板や携帯電話などのいわゆる都市鉱山から各種金属を回収し、再び社会に循環させる金属資源循環のポンプ役を担っています。

期待される都市鉱山

近年、携帯電話やパソコンのような廃家電製品などに存在する金属は、“都市鉱山”と呼ばれ、注目されています。これらの電子・電気機器に使用されている電子基板には、銅や金、レアメタルといわれる希少金属類など様々な金属が含まれています。特に、ハイテク製品の小型化・高性能化に大きく貢献し、産業のビタミンといわれるレアメタルは、元々産出量が少ないものや、埋蔵地域が限られているものがあります。さらに近年の世界的なレアメタルの需要拡大や資源ナショナリズムなどにより、その安定供給が危ぶまれる状況となっています。

この都市鉱山と呼ばれる廃電子・電気機器から有用金属を回収できれば、リサイクルにより相当部分を補うことができると期待されています。

都市鉱山における課題

テレビや洗濯機、冷蔵庫、エアコンの家電4品目については、家電リサイクル法により回収・リサイクルが行われていますが、携帯電話やMDプレーヤー、ラジカセなどの小型電子・電気機器については、そのほとんどが一般廃棄物や不燃ごみとして処分されています。都市鉱山からの有用金属の再資源化のためには、リサイクルの技術やコスト面で解決すべき問題が一部であるものの、まず使用済み小型家電製品を効率的に回収できる社会システムを整備することが重要な課題となっています。

イラスト小型家電の回収のための社会システム構築に向け、秋田県でスタートした廃小型家電の回収試験(こでん回収プロジェクト)は、北九州や東京、茨城、水俣市等に広がり、国の積極的な取り組みも始まっています。

DOWAグループは、資源リサイクルのエキスパートとして、秋田県の“こでん回収プロジェクト”の立ち上げから支援し、廃小型家電の適切な回収に向けた社会システム構築にも積極的に協力しています。


国内屈指のリサイクルコンビナート

DOWAグループでは、長年の鉱山・製錬事業の中で、銅や亜鉛だけでなく、鉱石に微量に含まれる各種レアメタルを含め、17種類の有価金属を回収する高い技術を確立しており、現在はこの技術を元に、金属リサイクルも手がけています。

DOWAグループのリサイクルネットワークは、小坂製錬と秋田製錬を核とする11のリサイクル関連企業が、多種多様なリサイクル原料を受け入れて、有価金属回収や無害化処理・最終処分を行っています。

例えば、小坂製錬では、鉱石以外にリサイクル原料として携帯電話や電子基板などを受け入れているほか、秋田製錬の製錬残渣やDOWAグループの焼却工場で発生した焼却残渣や低品位の有価金属含有物なども受け入れ、銅や金、銀などの金属回収を行っています。さらに小坂製錬で発生した製錬残渣を秋田製錬にリサイクル原料として供給し、小坂製錬では回収できない亜鉛などの金属の回収を秋田製錬で行うなど、相互に連携し有価金属の回収を行っています。

このように、DOWAのリサイクルネットワークでは、各工場で特定の金属を回収するだけでなく、自社で回収できない金属を含む残渣を他の工場のリサイクル原料として受入れ、様々な金属を効率的に回収するといった、国内屈指の金属リサイクルコンビナートを形成しています。

DOWAのリサイクルコンビナート図解

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さらなるDOWAの取組

2010年12月、亜鉛リサイクル工場として「秋田ジンクリサイクリング」を稼動する予定です。この設備では、国内の製鉄所で発生する鉄鋼ダストから亜鉛をリサイクルするための前処理を行い、秋田製錬や小坂製錬にリサイクル原料として供給する計画です。

このように、DOWAグループでは、鉱石だけでなく、廃電子機器や焼却残渣などを原料として受け入れていますが、今後さらにリサイクル原料の開拓と受入量の拡大を図っていきます。また、政府機関と連携し効率的なレアメタル回収・再生に向けた技術開発にも積極的に取り組んでいきます。

小坂製錬 〜国内初のリサイクル対応型炉〜

国内初のリサイクル対応型炉図式小坂製錬では、鉱石だけでなく、電子基板や携帯電話などの有価金属を含んだスクラップなどのリサイクル原料にも対応可能な国内初のリサイクル型炉(TSL炉)を保有しています。

このリサイクル型炉の原料は、スクラップ原料だけでなく、秋田製錬の亜鉛残渣やDOWAグループの各事業所から発生する多様な原料に対応可能で、これら原料から銅や金、銀などの金属を回収しています。

秋田製錬とともに、DOWAグループのリサイクルコンビナートの中核を担う製錬所であり、今後、わが国の資源循環型社会構築に大きく貢献していくものと考えています。

写真 小坂新製錬設備

秋田製錬 〜国内最大の生産規模を誇る亜鉛製錬所〜

秋田製錬は電気亜鉛を製造しており、年産20万トンの国内最大規模を誇る亜鉛製錬所です。亜鉛製錬の原料は、DOWAグループがメキシコで共同開発しているティサパ鉱山より調達している鉱石を主原料としていますが、リサイクル原料として小坂製錬において発生する製錬残渣も受入れています。さらに、今年の12月の秋田ジンクリサイクリングの稼動による、鉄鋼ダストからのリサイクル原料の受入れも予定されています。

写真 新硫酸プラント

また、秋田製錬では、亜鉛の他、電気カドミウムや硫酸の製造も行っています。硫酸の製造においては昨年9月に新硫酸プラントが稼動しました。このプラントでは、大気中に放出される硫黄酸化物の排出量を従来の4分の1に削減できるほか、硫酸製造過程で生じる熱の有効利用により大幅な燃料削減(年間1500キロリットルの重油削減)ができるなど、環境配慮型の施設となっています。


秋田レアメタル 〜 IT分野における先端電子材料を支える〜

インジウムやガリウムなどのレアメタルは、近年、IT分野における先端電子材料として需要が増加していますが、これらレアメタルは秋田製錬の亜鉛製錬プロセスから回収される中間品に多く含まれています。

写真 インジウム

秋田レアメタルではこの中間品からインジウムやガリウム、ゲルマニウムを回収しています。また、鉱石由来のインジウム精製だけでなく、使用済みITOターゲット(液晶パネルの透明電極製造の際に使用するインジウムすず化合物を固めた板)からの回収・リサイクルも行っており、世界的にも高いシェアを獲得しています。


日本PGM〜自動車廃触媒から白金族を回収〜

写真 自動車廃触媒

自動車に取り付けられている排ガス浄化触媒には、プラチナ、パラジウム、ロジウムが使用されています。日本PGMでは、これら使用済み触媒や小坂製錬の中間物からこれら白金族メタルを回収する事業を行っており、国内でトップ、世界シェアでもトップクラスを占めております。


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秋田ジンクリサイクリング

写真国内の製鉄所で発生する鉄鋼ダストから亜鉛を回収するため、亜鉛以外の不純物を取り除く処理工程を行うプラント(秋田ジンクリサイクリング)を2010年12月から操業開始することを予定しています。

秋田ジンクリサイクリングで処理した亜鉛含有溶液は、秋田製錬の亜鉛製錬の原料として供給され、年間約2万トン(亜鉛換算量)の処理能力があります。また、鉄鋼ダストに含まれる銅や鉛も抽出し、小坂製錬において回収を予定しています。

秋田ジンクリサイクリングの稼動に伴い、リサイクル原料の比率が増加し、さらにリサイクルコンビナートとしての機能が強化されることを期待しています。

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Leader’s Voice

代表取締社長 山ア 信男

■ DOWAメタルマイン
  代表取締社長 山ア 信男

メタルマインはDOWAの基盤事業会社として今後も進化し続けます。

自山鉱確保は製錬業が生き残るための戦略として極めて重要です。2009年度には原料ソースの安定化のためにカナダ・ハックルベリー鉱山に加えてジブラルタル鉱山の権益を取得しました。また秋田製錬の主力原料であるティサパ鉱山の拡張工事も順調に進んでおり2010年度末には40%の増産が可能となります。鉄鋼ダストからの亜鉛の回収も本年12月から2万トン/年の規模で操業を開始することにより亜鉛の自山鉱比率は30%に達します。小坂ではTSL炉の操業度アップを図り、同時に未回収元素であるニッケルとスズの生産を今年度中に実施し収益向上と最適化を図ります。さらに亜鉛鉱石からのレアメタル回収とITOスクラップからの回収で世界屈指のインジウム生産能力を誇っております。

メタルマインでは、こうした取り組みを通して有価金属の生産を精鉱と都市鉱山からの両輪とすることで、地球温暖化防止と資源循環型社会の構築に貢献しながら持続的成長を目指していきます。

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