DOWAエレクトロニクスは、これまで培ってきた薄膜技術、結晶成長技術、粒子形状制御技術及び微粒子技術を活かして半導体、導電性材料、電池材料、磁性材料を開発し、市場のニーズにお応えしています。
『キャリア粉』はオフィス用複写機などに使用されており、印刷物の画像品質を左右する重要な役割を荷う磁性粒子です。2011年度には供給能力を約5割増強し、事業強化を図っています。環境規制に対応したクリーンキャリアに対応し、生産ラインは自動化及び省エネ化が図られた効率的な生産システムを採用しています。
太陽電池の電極材などに使用されている『球状銀粉』も月産100トン体制に増強していますが、2012年度には需要動向を見極めながらさらに増設の検討を始めます。
また、新規材料としては、『排ガス浄化触媒』の取り組みのほか、『銀ナノインク』の印刷技術を開発し、RFIDアンテナや太陽電池、タッチパネルなどの分野への展開も期待しています。
これらの高い技術力に支えられた製品群を基盤に、幅広い領域で業界トップを目指すとともに、積極的な投資による新規開発を進め、成果を市場に提供することで、省エネやCO2 削減など環境にやさしい社会づくりに貢献したいと考えております。
DOWA IPクリエイション株式会社
所在地:〒702-8053 岡山県岡山市南区築港栄町7番地 従業員:134名(2012.3末)
「鉄」の持つ機能で、モノづくりを支える
DOWA IPクリエイション(以下DIP)は1965年、硫化鉄鉱石から硫酸製造後に残る「鉄」を材料として活用する事業からスタートしました。鉄は古くからある素材ですが、種々の加工により高度かつ多様な機能を持たせ、無限に用途を広げることができる材料でもあります。現在は、溶接や冶金、土壌改良などさまざまな用途に使用される「鉄粉」、複写機などの現像材として欠かせない「キャリア粉」、防錆加工など表面処理向けの「Zアイアン」という3種類の機能性材料を主力製品としています。鉄の特性を活かした最高品質の製品を供給すべく、設計・開発、生産、品質管理などあらゆるプロセスでトップレベルを目指しています。
市場ニーズに先駆け、最新型キャリア粉工場をオープン
複写機は、紙にトナーという微細な粉末を転写して印刷しますが、このトナーを「運ぶ」役割を担うのがキャリア粉です。DIPのキャリア粉は、磁性、粒度、密度、流動度といったさまざまな要素で優れた特性を持つよう、常に3年先を見据えて開発に取り組み、品質要求レベルが厳しい複写機メーカー各社から高い評価を得てきました。
さらに、2010年より高品質製品を安定供給する量産体制の整備を進めており、2011年11月にその集大成である新工場を立ち上げました。自動化、排熱利用、リアルタイム表示などの最新設備と、7層構造の建屋による縦の動線を活かした効率的な生産工程により、徹底した省人・省エネ化を図りました。また環境対策に加え、従業員の安全性や快適性向上の工夫も凝らされています。これにより、生産能力は従来の1.5倍と飛躍的に向上し、長期的に市場の需要に応える施設として稼働しています。
キャリア粉新工場は建物からプラントまで同時に新規建設を行いましたが、お客様のニーズに迅速に応えられるプラント技術を盛り込み、徹底した品質管理が行える工場づくりとしました。省人化と安全性を両立させるべく、運転状態の見える化と横持ち改善、作業動線を考慮した設計としています。技術立社として諸先輩方が積み上げてきた実績と、研製販管から集約した課題を形としてクリアすることがポイントでしたが、DOWA関係部門の協力もいただき、将来性ある人と地球にやさしい工場となりました。
製造2部 新工場建設プロジェクトチーム 光田 克彦
身近な取り組みから環境意識の向上へ
DIPでは、燃料転換や高効率の省エネ機器の導入、リサイクルの拡大などプロセス面での環境対策により大きな成果を上げていますが、一方で身近な取り組みを通じて従業員一人ひとりの環境に対する意識向上も図っています。例えば、日常的に使用する作業着はカーボンオフセット製品を、ヘルメットは製造エネルギーをグリーン電力で賄った製品をそれぞれ採用、事務所暖房には木質ペレットストーブを導入しています。また、通勤に自転車を利用するスマート通勤やアイドリングストップ運動など岡山県・市の取り組みにも積極的に参加しています。今後もこうした取り組みが各自の実際の業務や自発的な環境行動に結びつけられるように、さまざまな工夫を重ねていきます。
開発に必要な評価法の検討業務を担当しています。開発テーマを設備面からサポートする立場上、多くのテーマ・人・装置と関わりがあり、毎日が勉強ですがそこが面白くもあります。また必要な知見を身に付けるための手厚い援助をしていただけるので、若年ながらさまざまなことにチャレンジでき、やりがいを感じています。周囲の方々には日々、大変感謝しています。まだ担当して間もない業務ですが、新規評価手法を早期に確立し、製造方法へのフィードバック及び特許出願に役立ちたいです。
キャリア開発部 関 晴日
「さらなる温暖化防止のために」
DIPでは約150種類の鉄粉のラインアップを揃え、溶接や自動車部品の原料などの産業分野、使い捨てカイロなどの生活分野、土壌汚染の浄化材などの環境関連分野にも製品を供給しています。鉄粉は酸化鉄をコークスなどで還元し、熱処理することで製造しますが、2011年に温暖化対策の一環として製造工程の燃料を重油から天然ガスへ切り替えました。ユーザー供給を止めないよう工場を稼働しながら工事を進めるため、綿密な計画を元に約5ヶ月間かけて配管工事やバーナーの交換を行いました。これにより年間2,185トンのCO2 排出量削減効果が見込まれます。