DOWAグループの基盤となる鉱山・製錬部門を担うメタルマインは、海外鉱山への投融資による資源確保と高度な製錬技術をベースとして、環境事業と融合した独自のビジネスモデルを展開しています。主力工場の小坂製錬と秋田製錬を中核に世界にも類を見ない環境・リサイクルコンビナートを構築しており、小坂製錬ではリサイクル原料対応型TSL炉にて携帯電話やパソコンの電子基板など国内外のさまざまなリサイクル原料を処理すると同時に、回収元素の多様化を目指し新たにニッケルやスズの回収も開始しました。また、地球環境保全と資源確保の観点から有害物質の回収・無害化を可能にする世界初のスコロダイトプロセスを稼動しました。秋田製錬では世界一の品質及びコスト競争力を目指しています。鉄鋼ダストからの亜鉛回収や薄型TVに使用されるITOターゲット材からのインジウム回収を含めて、徹底した資源の有効利用に努めております。
メタルマインではこのように有価金属の生産を鉱石と都市鉱山から行うことで資源循環型社会の構築を目指し、限りある資源の有効活用を進めることで電力などのエネルギー消費量やCO2 の削減に寄与し、子供たちの将来が明るく安心できる社会づくりに貢献できるよう一層努めてまいります。
小坂製錬株式会社
所在地:〒017-0202 秋田県鹿角郡小坂町小坂鉱山字尾樽部60-1 従業員:300名(2012.3末)
黒鉱で培った技術を持つ DOWA発祥の製錬所
小坂製錬は銅や鉛といったベースメタルの生産をはじめとして、金・銀などの貴金属やビスマス、テルルといったレアメタルなどを回収できる世界でも稀有な複合リサイクル製錬所です。
小坂製錬の歴史は古く、そのスタートは1884(明治17)年まで遡ります。地元で採掘した黒鉱と呼ばれる鉱石を100 年以上にわたり製錬してきました。黒鉱は一般的な銅鉱石とは異なり、さまざまな有価金属や不純物を豊富に含んでいるため、分離・精製により高度な製錬技術が必要とされましたが、小坂製錬では1975年に黒鉱中の有価金属の完全回収を実現しました。黒鉱とともに長年培ってきた技術と英知の結集により、鉱石とリサイクル原料を同時に製錬できる複合リサイクル製錬所としての地位を確立しています。
新たにニッケル・スズの回収を開始
2008年に操業を開始したTSL炉は、それまでの自溶炉と異なり、パソコンの廃基板や携帯電話などのリサイクル原料100%でも製錬が可能になりました。2011年度には、新たに粗硫酸ニッケルとスズを回収する設備を立ち上げました。
粗硫酸ニッケルやスズは、銅と鉛を製錬する過程で発生する副産物で、粗硫酸ニッケルは銅の電解工程から、スズは鉛地金の製造工程で出る残渣より回収します。
新たに回収を開始した背景には、リサイクル原料の比率の増加に伴い、鉱石中にはあまり含まれていなかったニッケルやスズの量が増えたことがあります。スズはめっきやはんだ原料、ニッケルはめっきのほか身近には硬貨などの合金として、幅広い用途に使用されています。このように産業に不可欠な金属の回収・リサイクルを、引き続き拡大・増強してまいります。
スズはめっきやはんだなど需要の多い金属ですが、その大部分は海外からのスズ鉱石輸入で賄っています。亜鉛精鉱や家電スクラップにも少量のスズが含まれていますが、経済性が伴わず積極的には回収されていません。そのため、高い生産性と低コスト(= 低環境負荷)のプロセスを目指して開発を進めてきました。開発から実操業に至るまでにはさまざまな困難がありましたが、関係者の努力により短期間で計画生産量と目標以上の品質を達成できました。今後はさらに生産性を高め、資源の有効利用に貢献するとともに、活力のある職場を目指していきます。
品質保証部 技術開発課 課長 兼 鉛製錬部
スズ精製チーム チームリーダー 井野口 康祐
ふるさとの森づくりを通して広がる地域の環
小坂製錬では、かつて鉱山開発により広い範囲で森林を失いましたが、2005年から地域本来の広葉樹による緑化を本格的に開始し、これまで植樹した苗木の数は10万本を越えました。より多様な動植物の生息環境を実現すべく、ミズナラやブナなど十数種類の苗木を混ぜる植樹方法を採用しています。
2011年度も第5回植樹祭を開催し、グループ社員、町内の小中学生や地元のボランティア団体の方々など約430名の参加の下、苗木4,500本が植樹されました。グループ会社の秋田製錬が共賛・支援する秋田のプロバスケットボールチーム「秋田ノーザンハピネッツ」の選手の方々とマスコットキャラクターのビッキーも、応援に来てくれました。植樹祭後には、小中学生を対象にバスケットボール教室を開催するなど、毎年進化し続けるイベントとなっています。
総務部総務課で、人事労務・総務の幅広い仕事を経験させていただいています。今年2月25~26日は、一大イベントのDOWA杯に事務局として参加しました。雪がほとんど降らない地域出身の私にとって、十和田湖畔での活動は困難の連続でしたが、それ以上に氷上で繰り広げられる子供たちのひたむきな姿に心動かされるものがありました。DOWA杯は県・市町村、警察、学校、スキー連盟など、関係する皆様の温かいご支援ご協力の下に成り立っており、今回で22回目を数えました。それぞれの夢に向かって奮闘する子供たちの成長を後押しできることを、地元企業の一員として誇りに感じています。
総務部 総務課 森 直樹
第22回DOWA杯開催
2012年2月、秋田県小坂町十和田湖畔において、第22回DOWA杯ジュニアクロスカントリー十和田湖大会を開催しました。秋田・青森・岩手の小・中・養護学校66校から、463名の子供たちが参加しました。本大会の競技として6年目を迎えたシットスキー、今回は比内養護学校、八戸養護学校の生徒さんが大勢参加してくれました。年々シットスキー競技参加者は増加し、「授業で練習をしたいので、シットスキーを借りたい」というご依頼もいただいています。