株式会社イースクエア
代表取締役社長
本木 啓生(もとき ひろお)
イースクエアは、企業の戦略的CSR・環境経営の支援を通して持続可能な社会の実現を目指すコンサルティング会社。2001年4月よりイースクエアのコンサルティング事業の統括として、多岐の業種にわたる大手企業を中心に、戦略、コミュニケーション、教育、マーケティングなどの分野における支援を行っている。2011年10月代表取締役社長に就任。2005年より東北大学大学院環境科学研究科特別講師を務め、その他CSR関連の講演活動も多数行っている。
CSR 報告書2012 報告内容について
DOWAグループのCSR報告書は、CSR経営を事業と一体のものとして捉え、実事業を通して取り組みを行っていく姿勢がよくわかる内容となっています。昨年に引き続き、環境・リサイクル、製錬、電子材料、金属加工、熱処理の各事業領域における5つの事業会社のトップメッセージと主要工場が紹介されており、DOWAグループの事業及び取り組み内容を多面的に知ることができます。さらに、今年の報告書では2011年度に策定されたCSR方針とCSRの重点施策が報告されており、今後のCSR経営における重み付けがわかるようになりました。DOWAグループのCSRの考え方を知る上で重要な情報です。また、中期計画に基づいて積極的に推進しているグローバル展開の様子が一覧でわかる特集にも工夫が感じられます。経営トップをはじめ、各取り組みの担当者の顔が見えるつくりとなっている上、アンケートなどで得た外部ステークホルダーからの意見も掲載されており、ステークホルダー・エンゲージメントという観点からも評価できます。
さらなる改善に向けて
今回の報告書で初めて公表されたCSR方針、CSRの重点施策、環境・社会目標の各項目ですが、お互いの関係性がわかりづらく感じます。方針の下に重点施策や環境・社会目標があることがわかるように工夫し、また、重点施策は優先的に取り組むべき項目ということで、具体的にどのように展開するのかロードマップで示すことを推奨します。
DOWAグループ全体のマテリアルバランスを把握し、全体像を示していることは素晴らしい取り組みです。マテリアル毎の詳細な説明はあるのですが、マテリアルバランスの一覧において、対前年で増えているのか減っているのかが一目でわかるように工夫すると、掲載された数字の意味を理解しやすくなると思います。
今後の取り組みへの期待
DOWAグループが目指す事業との一体化を図るCSR経営は、これまでのところ着実に進化を遂げていることを感じます。希少資源の枯渇がより深刻な問題となりつつある今日、循環型社会を形成するのに欠かせない数多くの技術を持ち、川上から川下までカバーするユニークなポジションで事業を行っている特徴を最大限利用して、持続可能な社会への変革においてDOWAグループがリーダーの役割を担っていくことを期待しています。