当社の事業は、お客様から自動車のエンジン部品やギアなどをお預かりし、強度を上げるためのさまざまな熱処理を行う熱処理加工事業と、熱処理設備の製造、販売、メンテナンスを行う工業炉事業を二つの柱としています。
熱処理加工は、極めて高温の雰囲気中で行われるため、多量のエネルギーを使います。そのため、省エネを地球環境保護に向けた大きな経営課題の一つとして捉えています。高効率設備の開発・導入、熱処理条件の改善、生産性の向上など、目標を決めた取り組みは着実に成果を上げています。近年は廃油などの産業廃棄物のリサイクル化、欧州などで使用が禁止されている化学物質の持ち込み及び使用禁止など、さらなる環境リスク低減に取り組んでいます。
当社はアメリカ、タイ、中国、インド、インドネシアでも事業を展開しており、今後も積極的に海外事業を拡大する計画です。事業のグローバル化に伴い、海外においても国内同様の環境保全活動を実施し、自社の事業活動における環境負荷低減に取り組むとともに、事業を通じて持続可能な社会の構築に貢献します。
Dowa Thermotech (Thailand) Co., Ltd.
所在地:300/33 Moo 4,Tambol Tasit,Amphur Pluakdaeng,Rayong 21140 Thailand
従業員:51名(2012.3末)
DOWAサーモテック 東南アジアの中核拠点
Dowa Thermotech Thailand(以下DTH タイ)は、海外進出した日本の自動車メーカーの現地調達化のニーズに応えるべく、DOWAサーモテックのアジア展開の一環として2007年に設立されました。DOWAサーモテックの東南アジア第1号拠点で、バンコクより約150km、ラヨン県イースタンシーボード工業団地内にあります。自動車産業が集中していることから、「東洋のデトロイト」と呼ばれる地域です。
以前よりタイには100基以上のDOWAサーモテックの設備が納入されており、DTHタイはその修理、メンテナンス、改造工事サービスからスタートしました。現在では、主に自動車関連部品や農業用機械部品を中心とした熱処理の受託加工サービスならびにDOWA製熱処理設備のメンテナンスサービスを中心に展開しています。
海外で活かされるDOWAの熱処理技術
熱処理加工は、「より強く、より軽く、より永く」を目的として金属部品の表面に処理を施すもので、耐摩耗性や耐食性が求められる自動車や電気機器部品にとって欠かせない技術となっています。DOWAサーモテックでは、国内で長年にわたり熱処理加工技術とノウハウを蓄積してきました。DTHタイにおいても、国内の自社炉を現地に持ち込み、国内同様の安定した品質で信頼性の高い熱処理加工を提供しています。浸炭焼入れと呼ばれる熱処理加工を行っており、金属部品をより強く、より長寿命にするため、鋼の表面に炭素を浸入させて熱処理を行います。
今後も、国内各工場と同様に浸炭プロセスを中心に設備増強を行い、2012年度はガス軟窒化プロセスを導入する予定です。これにより、ますます発展が見込まれる東南アジア市場の需要に応えていきます。
DTHタイ工場の熱処理設備(浸炭焼入炉)は、日本で使用していた設備を活用しています。最新の設備と比べると、熱源が全て電力であることと、高断熱の材料を使っていないため省エネ性能は劣りますが、その分、設備の寄せ止めをするなどの熱処理炉の操業面での工夫を行い、エネルギーの無駄遣いをなくすように努めています。 |
DTHタイ 社長 平野 晴義
安全への取り組み CCCF活動を開始
DTHタイでは、安全への取り組みとして、5S活動、CCCF活動、安全&5Sパトロールを実施しています。このうち2011年1月より開始したCCCF(Completely Check and Completely Find-Out:完全な確認と洗い出し)活動に特に力を入れています。
CCCF活動では、活動に関する年1回の従業員教育、全従業員が参加して行われる年2回の「現地現物活動」を通じて、職場におけるあらゆる危険箇所の洗い出しを行います。リスク評価で危険度の高いランクAとされた箇所を最優先として、設備改善や作業標準の整備、教育などにより、対策を取っています。活動の進捗状況を掲示板を用いて共有化する等、活動の活性化や安全管理の「見える化」も図っています。
今後も、CCCF活動をはじめとする地道な活動の積み重ねにより、無事故無災害の職場を目標に掲げ、労働安全衛生の取り組みを強化していきます。
日々の業務の中で、CCCF活動と安全運転キャンペーンに特にやりがいを感じています。安全運転キャンペーンは、バイクのヘルメットと車のシートベルト着用の日々のチェックを行っています。CCCF活動や安全運転キャンペーンは、従業員の安全にとって非常に有意義であり、やりがいを感じる活動です。一方で、職場において安全を見極めることや、全従業員と協力し安全活動を進めることに難しさも感じています。今後も、職場での安全性をさらに高め、従業員の安全活動への積極的な参画と安全意識の向上を図っていきたいと思います。
Safety & Environment Officer Nongkran Sridech
安全運転キャンペーン
2011年度は、CCCF活動の一環として、安全運転キャンペーンを始めました。タイでは多くの企業が取り組んでいるキャンペーンですが、DTHタイでも、毎日従業員の出勤時にヘルメット装着やシートベルト着用の有無をチェックしています。タイでは交通事故が非常に多く、深刻な社会問題になっています。そのため、こうしたキャンペーンを通じて、事業所内だけでなく通勤時の安全に対する意識を高める活動も行っています。