DOWAグループでは、製造工程から廃棄までのライフサイクル全般にわたり環境に配慮する「エコプロダクツづくり」を推進しています。当社は、①材料(マテリアル)②部品(コンポーネンツ)③製品(プロダクツ)④サービスの4分野において、A. 製造時(当社製品の製造時における環境負荷の低減)、B. 使用時(最終製品の省エネや環境負荷の低減に寄与する素材や部品の提供)、C. 廃棄時(使用された後の金属リサイクルや廃棄物処理)のいずれかの段階において、資源や環境の保全について配慮した製品・サービスを「エコプロダクツ」とする考え方に基づき、開発・生産に取り組んでいます。
殺菌など幅広い用途への可能性 |
DOWAエレクトロニクス |
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エコプロダクツ分類-③プロダクツ/B.使用時→省エネ、C.廃棄時→有害物質の削減
人間が色として認識できる可視光領域の下限である紫の外側の「紫外域」は、波長が短くエネルギーが大きいという特性を活かし、産業や医療などさまざまな用途に用いられています。紫外域の光源として従来は水銀灯などの放電管が主流でしたが、水銀の有害性や消費電力などの観点から、数々のメリットを有するLED 光源へのシフトが求められていました。
近年、紫外LED としては405nm、380nm、365nmなどの「近紫外」波長が実用化されています。一方、殺菌用など大きな市場が期待される350nm以下の「深紫外LED」は、技術的に製造が困難とされていましたが、DOWAエレクトロニクスは独自技術の組み合わせにより実用化に成功しました。
深紫外LEDを従来の水銀灯などの代替として使用することによって、長寿命で消費電力が少ないというLEDのメリットを享受できる上、水銀フリー化が実現します。例えば殺菌に最も有効とされている波長260nm前後の光源を利用する場合、水銀灯では目的とする波長以外の波長も同時に発光するためエネルギー効率が悪く、高発熱、大消費電力、大型化という構造的な問題を抱えていました。一方LEDは特定の波長での発光が、高効率、省スペースで可能です。また、有害物質の削減においては、水銀フリー化に加え、水銀灯ではオゾンの発生源となる波長での発光が不可避という欠点がありましたが、LED化により、特定の波長のみでの発光が可能となり、オゾンの発生をなくすことができます。
これらのLEDの特性を活かし、次世代の光源として、水銀灯などの従来の放電管では対応が困難であった医療用途やバイオ領域などの新用途への展開も進んでいます。環境負荷低減に寄与するさまざまな要素を持つ深紫外LEDに、世界各国の企業から大きな期待が寄せられています。
金型寿命を延ばす環境対応型表面処理「クロームドッペ-N」 |
セム |
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エコプロダクツ分類-④サービス/B.使用時→省エネ・地球温暖化防止、長寿命化
金属材料は、化学的・物理的な処理を行うことによって、表面に耐食性や耐熱性、また特殊な性質や機能性を付加できます。この表面処理は、金属部品や金型の寿命向上に欠かすことができない技術です。表面処理法には、浸透拡散法、表面硬化法及びコーティング法など多くの方法があり、DOWAグループでも20種類以上の表面処理技術を保有していますが、中でもDOWAサーモテックグループのセム社が行う「クロームドッペ-N」処理は、物理蒸着といわれるコーティング法で、環境対応に優れた技術です。用途は主に粉末やプラスチック、ゴムなどを成型するための金型で、耐食性、耐摩耗性、離型性(型からの製品の外しやすさ)を向上させることで、金型寿命を飛躍的に伸ばすことができます。
プラズマ窒化やガス浸炭といった方法が約500~930℃という高温で処理を行うのに比べ、「クロームドッペ-N」は減圧下において、プラズマエネルギーを使い約200℃で加工することが特長です。このため、熱による材料の変形や歪(ひずみ)などが生じにくく、幅広い材料に適用できるほか、省エネルギーにつながりCO2 の発生も抑えることができます。その上、カドミウムや鉛などの有害物質を含まない安全なコーティングです。