2012年は、国連決議により「すべての人のための持続可能エネルギーの国際年(International Year of Sustainable
Energy for All)」と定められています。これは、世界中の誰もが十分なエネルギーを享受できるようにし、世界経済の活力を増大させ、世界を持続可能な方向に舵取りしていこうとする取り組みで、再生可能エネルギーが重要な要素となっています。
DOWAグループでは、自社事業で使用するエネルギー量とCO2 の排出量削減などの環境負荷低減を推進してきましたが、さらに再生可能エネルギーによる自家発電の活用と事業を通じた新エネルギーの普及に積極的に取り組んでいます。
再生可能エネルギーの導入
■水力発電
大湯第四発電所
資源の少ない日本において、水力発電は環境負荷の少ない純国産エネルギーです。金、銀、銅などの生産を行う小坂製錬では、1897(明治30)年、国内で2番目となる水力発電所(大湯川銚子発電所)の運転を開始しました。その後も鉱山開発や事業の拡大に伴い設備の増設と整備を続け、秋田県内に6か所の水力発電所を保有しています。現在も出力約11,400kwの発電を行っており、小坂製錬のエネルギーを賄う重要な電力源です。
また、製錬設備の定期修理時には発電による余剰電力を東北電力に供給するなど、電力需要対応にも貢献しています。
■廃棄物発電
ロータリーキルン
排熱を有効利用する廃棄物発電は、ごみを焼却する際の「熱」で高温高圧の蒸気を作り、その蒸気でタービンを回して発電します。廃棄物の中間処理を行うエコシステム千葉では、2009年より運転を開始し、最大4,200kWの発電を行っています。発電された電力のうち、約3,500kWを自社内の設備運転電力に使用し、残りの電力は外部へ販売しています。廃棄物発電は石油などの化石燃料の消費を節約し、CO2 の削減にもつながる優れたシステムです。
■太陽光発電
DOWAグループでは、サーモエンジニアリング太田工場(群馬県)、DOWAハイテック(埼玉県)、エコシステム山陽(岡山県)、アクトビーリサイクリング(熊本県)の4社が太陽光発電システムを導入しています。現在、4社合計で最大290kWの発電を行い、事業活動に必要な電力の一部として使用しています。
各社ともに省エネルギーや環境負荷の軽減に積極的に取り組んできましたが、さらに太陽光発電を取り入れることで、従業員のエネルギーに対する意識の向上を図っています。また工場見学や地域住民の方々にも、来場時に太陽光発電と地球温暖化やエネルギー問題などのご説明を行うことで、環境啓発にも取り組んでいます。
太陽光パネル
事業を通じて新エネルギーの普及に貢献
■太陽光パネル用銀粉の製造
銀粉
太陽光発電は、風力・地熱発電などとともに「再生可能エネルギー」のひとつとして、導入・普及が急速に進められています。DOWAハイテックは、太陽電池(結晶系シリコン型太陽電池)セルの電極部分に使用される「銀粉」を製造する国内最大級のメーカーです。電極用銀粉は低抵抗性や高精細な配線形状などの特性が求められ、製品性能に大きな影響を与える重要な材料として位置づけられています。DOWAは、国内外メーカーのニーズに最適な銀粉を開発・提案し、安定して供給することで、太陽電池の機能向上に大きく貢献しています。
■エネルギーコンサルティング
風力発電
太陽光、風力などの自然のエネルギーは、CO2 排出量が少なく、枯渇する恐れのないクリーンなエネルギーですが、地域や種類ごとに偏りがあるため、エネルギーの賦存量や事業化の可能性について詳細な調査を行い、さらに自然環境や経済活動などの地域特性を踏まえた上で導入を図る必要があります。DOWAグループの環境コンサルティング会社であるイー・アンド・イー ソリューションズでは、1980年代より風況の実測調査やシミュレーションを開始し、バイオマス、中小水力などさまざまな新エネルギーの普及に取り組んできました。2011年度は、洋上風力発電に関する国の調査事業や、メガソーラーの導入支援事業を数多く実施しています。